通信販売の法規(特定商取引に関する法)に基づく表示

冷凍しても柔らかさを残す豚肉
カタログ2014年7月3週号
不飽和脂肪酸が豊富な証拠。
◆安全な国産のエサで育てられた放牧豚
 北海道標津町にある興農ファーム 本田 廣一代表は、国内ではたいへん珍しい豚の放牧に取り組み、エサも国内自給の安全なエサにこだわっています。詳しくは拙著「あなたのいのちを守る安全な食べもの百科」p.76でご紹介しています。
 興農ファームでは、ピンク色の肌をした子豚たちが実に元気に広い牧場を走り回っています。ピンク色の肌は豚が健康である証です。
 興農ファームの豚が健康でいられる理由は、1.それぞれの家畜の生理を最大限に活かして飼育する事 2.広い牧場に放牧され、十分な運動量や日光浴が確保され、ストレスの少ない環境で育っている事 3.安全性の高い地元のエサで育てられている事 4.エサの発酵技術を活用している事、等です。

◆冷凍スライス肉にしなやかさ
 一般の豚肉の場合、冷凍したスライス肉を曲げようと力を入れると当然のようにポキッと折れてしまいます。動物性の飽和脂肪酸が多いため、融点が高く、冷凍ではカチカチに凍っているためです。
 しかし、不思議なことに興農ファームの豚肉のスライス肉に曲げようと力を入れると、豚肉はカチカチに凍っておらず、しなやかさ、柔らかさを残していて、少しながら曲がるのです。このことから興農ファームの豚肉には融点の低い不飽和脂肪酸が多く含むと考えられます。ヨーロッパでは牧草をたっぷり食べている牛のミルクにオメガ3系の不飽和脂肪酸の比率が高いことから、「オメガ3牛乳」と呼ばれていますが、同様なことが豚肉にもあるのかもしれません。

◆厳しい自然の中で体脂肪が二重構造に
 興農ファームでは一般の近代養豚のように、エアコンで飼育環境の温度を一定にしていません。そのような人為的な環境では、豚は本来の能力を発揮できず、不健康となり、豚肉には飽和脂肪酸が多くなるからです。興農ファームでの豚の飼育環境は、運動する場所と寝る場所との温度差が大きく違っています。夏の放牧では暑いとき、豚は土に穴を掘って、体を冷やそうとします。冬はそのまま寒い温度にさらされます。寝床は麦ワラで発酵熱で温かです。自然な環境で厳しい寒暖の差にさらされる豚の体脂肪は二重構造になっています。寒くても脂肪のかたまらないよう、不飽和脂肪酸が多くなると考えられます。
 また、エサにトウモロコシを与えていないことも脂肪の質に大きな影響があります。牧草を食べていることにも不飽和脂肪酸が増える理由があります。

◆輪作で土、農作物、牛・豚を健康に
 興農ファームでは豚は牧草地を鼻でひっくり返して草を食べています。まるで畑をロータリーしてくれるようです。豚を放牧したあとの農地はナタネ、ソバ、ジャガイモなどを植え畑にします。畑作のあとは休耕にし、その次は牧草を植え、牛と豚のエサにします。豚の糞は発酵させて堆肥として畑に還元します。もちろん窒素過剰になるような施肥はしません。このような有機的な輪作をして土、作物、豚、牛の健康を守っています。


興農ファームの放牧豚
■品種
 WLDの三元交配とハイブリッド豚のケンボロウ種。WLDのWは大ヨークシャー、Lはランドレース、Dはデュロック。肉の歩溜りよりも(肉重優先でなく)、肉の味に力を入れています。ケンボロウ種は子数が多いので導入。今後は三元豚とハイブリッドの割合を半々にする予定。

■飼い方
 病気予防のための抗生物質を使っていません(これを排除できているケースはまれ)。使用している動物医薬品は、子豚に3種類のワクチン(ARインフルエンザ、胸膜炎・肺炎、豚丹毒)とお産前の母豚に急性大腸菌性下痢症のワクチン。そのほか駆虫剤(寄生虫)、病気発生時、例えば月1頭程度ある発熱時に解熱剤、怪我のときにペニシリンを使用する程度です。
 抗生物質は人間に対して耐性菌問題がありますので、抗生物質を使用しなければならない状態を作らない事に注意をし観察に力を入れ、罹患する前に対処するように努めています。例えば気温が下がり寒すぎる時には豚舎のストーブを焚き室内温度を上げるとか、いじめられている豚を分離したり等しております。また子豚にはヨーグルト、お茶を毎日飲ませ免疫力を強化しています。
 少し大きくなった豚が抗生物質を使用しなければならない疾病に罹った場合には、基本的には抗生物質を打たず、淘汰対象として畜産公社で屠殺します。
 全て自家繁殖です。ただし交配頭数が少なかったり、種止まりが悪く子数が極端に少ないときには外部からの導入をすることがありました。出荷は180〜210日齢、生体で100〜120kgです。運動を十分にさせ、太陽光線を当てビタミンの働きを活発にし、土壌微生物を自由に摂取できるよう、放牧状態にしています。ここまでエサの安全性にこだわり、しかも100%放牧の豚は、全国にもまずあるとは思えない水準のものといえます。
 屠畜は牛肉と同じ北見畜産公社で行い、骨外しまで行います。北見畜産公社は国内初のオランダ方式の屠場で、日本で初めてO-157安全対策(食道直腸結索法、水を使わないドライ管理、一度も床へ下ろさず全行程吊るしたまま進行する作業行程など)を実現している工場です。
  スライス、パックは興農ファームの食肉工場で行い、そのあとは冷凍でお届けしています。この肉を原料として無添加ハムも開発しています。

■エサの原料
 ポストハーベスト農薬、遺伝子組み換えのある輸入のエサを極力排除し、エサの国産化に取り組み、自家産有機栽培の牧草を与えています。
 主として国産原料の農業残滓物や規格外品を使用。飼料の国産化を堅持していくために、ナタネ、ダイズ、コムギ、ジャガイモなどの栽培を広げ、有畜複合農業への本格的な取り組みを始めています。
 飼料の発酵はとくに工夫しているところです。アンモニア臭を抑え、呼吸器障害を防ぎ内臓の健康と肉に臭みがつかないようにし、エサの消化吸収効果を高めます。さらに肉の締りをよくするために、咀嚼できるよう草を与えています。


原料は以下、多い順です。※印は暫定品。

・でんぷん粕・・・ホクレン斜里工場の北海道産
・小麦・・・北海道産の規格外
・米ぬか・・・北海道産 
・ふすま・・・江別製粉(北海道産)
・大豆・・・北海道産の規格外 
・味噌※・・・市販レベルの味噌(輸入大豆) 
・塩・・・岩塩 
・豚用プレミックス(ビタミン、ミネラル)※・・・
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、
硝酸チアミン、リボフラビン、塩酸ピリドキシン、シアノコベラミン、
塩酸コリン、P-パントテン酸カルシウム、ニコチン酸、葉酸、
炭酸マンガン、炭酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸コバルト、
ヨウ素酸カルシウム
・自家牧草・・・自家産有機栽培。夏は青草で、冬は乾草でふんだんに給餌。
・飼料米・・・北海道産、岩手県産
・おから※・・・大豆は輸入大豆、一部国産
・ジャガイモ・・・北海道産
・醤油粕※・・・市販レベルの醤油粕(輸入大豆)
・廃糖蜜・・・石垣島産
・ホタテ微粉末・・・標津産 
・粉炭・・・斜里産



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―


戻る