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国内唯一の甕壷仕込み、 黒糖焼酎
カタログ2013年6月2週号
さわやか、切れよく、香りよし。ストレート、オンザロック、お湯割りに。梅酒作りにもおすすめ。
◆幻の黒糖焼酎
 沖縄と九州の間に位置する奄美大島で、富田酒造場の富田 恭弘社長はさわやかで切れよく、香りよしの昔ながらの甕壷仕込みの黒糖焼酎を醸造しています。
 焼酎といっても安物の芋焼酎のようなプンとする臭さはありません。外国のウイスキーやラム酒に負けない高級感のある焼酎で、いたずらで何万円もする高級洋酒の空ボトルに入れて友人へ提供すると、「さすがに高い酒はうまい」といわせたことがあります。ストレート、オンザロック、お湯割り、カクテル(炭酸、スペアミントを使う)などでたいへんおいしくお召し上がりいただけます。酒店業界で話題になり、入手困難なため幻の酒と呼ばれています。
 ちょっとぜいたく感はありますが、梅酒作りには安い合成焼酎ではなく、この黒糖焼酎がおすすめです。

◆奄美だけに認められた黒糖焼酎
 黒砂糖を使った黒糖焼酎は、酒税法の関係(原料が黒糖だけだとスピリッツに分類され高い税金がかかる)があるので、米麹を使うことを条件に、奄美諸島でのみ製造を許可されています。
 その奄美で黒糖焼酎を一次仕込み、二次仕込みとも甕壷仕込みしているのは今や富田酒造場ただ1軒となっています。したがって国内唯一の甕壷仕込み黒糖焼酎といえます。

◆酒の味をよくする甕の力
 もともと日本では酒などの醸造には甕が使われていました。甕(セラミック)はその遠赤外線効果で酒の味をよくします。しかし、江戸時代、江戸が100万都市となり、増産の必要性が高まって杉樽に切り替わっていった経緯があります。今では発酵醸造にステンレス、ホーロー、FRP樹脂までもが使われるようになり、味、安全性が犠牲となっています。甕壷仕込みもわずかに残っていますが最近のものは粗悪な中国産の甕になっています。
 富田酒造場の甕は1951年アメリカ占領下での創業時以来あるもので、富田社長にもどこの産のものか分からないほど古いものです。今となっては、富田酒造場の甕仕込みは伝統技術としても文化財的価値のある貴重なものとなっています。富田さんはいい酒を作るためにはこの甕仕込みは止めないと心に決めておられます。
 ちなみに、沖縄の泡盛の甕は冷却が目的で地上にすわっています。奄美の黒糖焼酎の甕は半分地上に出ています。鹿児島の甕は保温が目的で首の所まで埋まっています。それぞれ発酵温度を適温にするためです。

◆厚生林の湧き水仕込み
 富田酒造場の特徴は甕壷仕込みだけではありません。黒砂糖は徳之島、波照間島、多良間島など国産を、米は熊本産を使っています。水は原生林金作原の水(名瀬の水道水)を使っています。

◆おいしいところだけを蒸留
 蒸留機にも工夫があります。歩留りを求めて根こそぎ蒸留するとフーゼル油が多くなり、重たい酒になり、口にからむような切れ味の悪い酒となります。フーゼル油は香味成分でもあり、減圧低温蒸留をすると少なくなり、さっぱりはしますが深い味わいがなくなります。香味成分フーゼル油のバランスが大切です。品質のよいところだけを得るために、富田酒造場では常圧蒸留を行うことや蒸留塔の立上がり部分を長くしたり、末垂れカットを高くするなどの工夫をしています。

◆ばななごうとがきっかけ
 富田酒造場の当時は専務であった富田 恭弘さんと私が出会ったのは、私が主催した「ばななぼうと」(市民運動の洋上サミット)を準備していた1986年でした。「ばななぼうと」のテーマの一つは、琉球孤の自然や生命を脅かす核再処理工場、石油備蓄基地、白保空港など巨大プロジェクトに対して、亜熱帯の自然を活かした農業や島の特産品を活かすなどの「島おこし」でした。富田 恭弘さんはそんな奄美の島おこしを目指すグループのお一人だったのです。
 富田 恭弘さんはこのすばらしい伝統的な甕壷仕込みの黒糖焼酎を兄弟4人で力を合わせて守っておられます。


富田酒造場の黒糖焼酎
■原料
●黒砂糖…徳之島、波照間島、多良間島の一等以上を使用
●米………熊本産(加工用米)
●水………原生林金作原の水(名瀬の水道水) 
●黒麹……河内NK菌
●酵母……鹿児島2号酵母

■製造方法(甕壷(かめつぼ)仕込み)
◇一次仕込み
 蒸し米に昔ながらの黒麹を植付けて米麹を作り、水とともに蔵付き酵母の棲む三石甕に仕込みます。黒麹が産生するクエン酸が亜熱帯の気候における雑菌を抑制して酵母を守り、味の切れがあって風味がよいものができます。毎日2回かき混ぜながら約1週間酒母造りをします。

◇二次仕込み
 主原料である黒砂糖を溶かした液体を加えて、アルコール発酵させ二次醪(もろみ)を造ります。黒砂糖を使っているからといって甘いお酒になるわけではありません。仕込み後は毎日櫂で攪拌し、さらに2週間もろみ造りをします。

◇蒸留
 熟成し、旨味を増した醪を蒸留機で蒸留します。39〜44%の原酒をとります。15分ごとに蒸気圧を変えたり、冷却タンクの表面温度を触って確かめたり、たいへん丁寧な作業を行っています。
「焼酎造り」は一に蒸留、二に麹、三に醪の温度といわれています。それら個々の甕に個性があり、味も違います。その年の農作物にもよります。それらの香りを感じながら幅のある味を出すこと、切れがあって風味がよい酒になるよう、蒸留方法を工夫されています。こうして得た蒸留酒を手入れをしながら貯蔵し、半年から一年熟成させると黒糖焼酎となるのです。
 海からさほど離れていない山すその蔵は冬は潮風、春、夏、秋は森の香りに包まれています。酒作りは夏場2ヶ月は休みます。春と秋は発酵微生物が活発に働くので、酒の出来もよいのです。発酵温度を適度に保つために、甕は土中に半分埋めています。


●梅酒用、普段飲みに…龍宮 30度
まろやかな龍宮は、梅の香りをそのままに贅沢なハーモニーを醸し出します。
●お湯割りに…らんかん原酒 42〜43度
●オンザロックに…かめ仕込 40度
●ストレートに…まーらん舟 33度
●冷酒感覚飲みに…蔵和水 龍宮 15度
割って飲むのが苦手な人のために、水と酒がなじんでいます。
●ワイン好きの人に合う…無濾過原酒 まーらん舟 41度
●カクテルドライモヒート用(スペアミント、炭酸)…まーらん舟 25度
●甕入り 龍宮…3.6L、5.4L、9L、18L
黒い釉薬が焼酎の味がおいしくなると話題の甕に入っています。
注文生産で約1ヶ月で届きます。


市販の焼酎の 問題点
 焼酎はさつまいも(芋焼酎)、小麦(麦焼酎)などの原料を発酵させ、醪にしたものを水蒸気蒸留して作る蒸留酒です。したがって元の原料の香りが風味にそのまま出てきます。大量生産を行なう一般のメーカーでは少しでも安くと、劣悪な原料を使い、回収するアルコールの歩留りも最大限にしようとしています。それなりの原料からはそれなりの香りのものしかとれません。その点、黒砂糖は香りのよい焼酎づくりに向いています。
 また、根こそぎアルコールを回収しようとする余り、香りのバランスが悪くなります。


―文責 西川榮郎(NPO法人 安全な食べものネットワーク オルター代表)―



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