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貴重な原木栽培の乾し椎茸
カタログ‘2009年6月4週号’
安全でおいしい原木栽培椎茸、
それを乾燥させた乾し椎茸。
煮物、だし用に。


●地元の原木を使っています

 松田椎茸園の松田宗丈さん、直和さん親子は奈良県月ヶ瀬で、現在では稀少品となった原木栽培の椎茸作りに取り組まれています。カビ対策用の農薬はもちろん、ホルモン剤、栄養剤も一切使用しない安全な栽培です。この安全でおいしい貴重な原木栽培椎茸を、乾燥椎茸に加工しています。松田宗丈さんはオルターカタログ2007年11月3週号にて紹介した「国産原木しいたけ生産者の会」(井上順一代表)の副代表でもあります。
 松田さんの地元、月ヶ瀬には原木栽培用のナラやクヌギの木が、まだまだ栽培に使うのに余るほど存在しています。菌床栽培に押され激減している原木栽培椎茸の生産者の中でも、地元の原木が使える生産者は極めて少数で、恵まれた環境での椎茸栽培といえます。

●激減している栽培農家

 17年前までは地元で椎茸を栽培している農家が90軒ほどありました。しかし今では半数ほどにまで激減しています。カタログ2007年11月3週号でも紹介したように、菌床栽培は作業も軽くて簡単、生産効率もよく大量生産がききます。原木栽培椎茸はこれに押されてしまって、まさに絶滅寸前なのです。
 菌床栽培は農薬、ホルモン剤、栄養剤などを使うもので、とてもおいしいとは言えません。これに対し、原木栽培椎茸は安全でおいしく、このことを消費者はもっと理解してほしいものです。うれしいことに「国産原木しいたけ生産者の会」のみなさんの努力で、2006年10月から椎茸に国の表示基準が新設され、「原木椎茸」と「菌床栽培」とが区別されるようになっています。

●農家の副業として出発

 松田宗丈さんのお父様、良次さんが1977年に椎茸栽培を始めました。当時は茶作りが本業で、冬場には出稼ぎの仕事をしていましたが、その冬場の副業として椎茸栽培を始めました。今ではこの原木栽培椎茸が主たる仕事となっています。
 オルターとは2002年から毎年通天閣で開催している「通天閣で知るほんまもん」でいつもご一緒させていただいていました。


松田椎茸園の原木栽培椎茸
松田宗丈さん、直和さんは、常時13,000本の原木を使って椎茸作りをしています。夏は6,000本、冬は7,000本を使っています。毎日重いホダ木を山の中へ数百本移動、浸水、発生操作の手間をかける重労働に取組んでいます。

●原木
 地元の主としてナラ、ほかにクヌギの原木を使用しています。

●作り方
 害菌が活動しにくい寒い時期に菌打ち(植菌)、すなわち原木にドリルで穴を開けて椎茸菌を植え、穴をロウや発泡スチロールで蓋をしておきます。それを杉の林の中に伏せ込み、半年〜1年半かけて菌を蔓延させ「ホダ木」とします。こうしてできたホダ木を井戸水に8〜24時間浸水して発生操作を行います。
 椎茸は昼夜の温度差をつけると7〜10日で採取できる大きさに育ってくれます。夏場にはビニールハウスを使いますが、春や秋は林の中で露地栽培しています。冬は寒さに強い低温菌を使い、自然まかせにしています。収穫時期は桜の季節から5月のゴールデーウイーク頃と、10月初旬から11月頃に端境期がありますが、ほぼ一年中採れています。
 「日本きのこセンター」の菌がわりと強く、カビ対策に農薬など使う必要がありません。ホルモン剤、栄養剤も一切使用していません。
 収穫した椎茸の乾燥は、機械で低温乾燥(40〜50℃約一昼夜)をしています。


市販の椎茸の問題点
 原木を使わないで、おがくず(木にもポストハーベスト農薬の心配あり)におからやふすま、コーンスターチ(いずれもポストハーベスト農薬、遺伝子組み換えなどの問題がある)の栄養剤を混ぜたもので椎茸栽培を行う菌床栽培は、生産効率がよく大量生産に向き、作業も軽くて簡単なことから、現在では椎茸栽培の主流となっています。しかし、農薬、ホルモン剤、栄養剤などの使用があり有害な食材といわざるを得ません。原木栽培椎茸に比べ食味や風味も劣ります。この菌床栽培の問題については2007年11月3週号で詳しく解説していますので、それをご参照ください。
 最近のトピックスは、相次ぐ中国産の食品汚染事件のため、中国産の椎茸に危惧を抱く消費者が増えてきたことに対して、中国ですべて作った菌床を日本国内に輸入し、そこから発生した椎茸を「国産」と称して売る業者が登場していることです。中国での菌床栽培はもともと日本の技術を持ち込んだものですが、品質や安全性に対する信頼性は日本国内よりも低いと判断しなければなりません。その中国から日本に輸入された菌床から発生した椎茸は実質「中国産」といわざるを得ません。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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