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丸中醤油蔵だより
オルター通信1021号 記事
No.11 2008年新春号
(前略)
 昨年、日本の食料自給率が発表されましたが、わずかに39%とのことでした。61%は海外に食糧を依存しているということです。この状況は本当に危険だと思います。昨年「食に命をかける会」にご縁があり、東京農業大学の小泉武夫会長の話を聞いてきました。私が以前に、物を捨てる日本の話をしましたが、かなり感銘を覚える話をされていらっしゃいましたので一部ご紹介したいと思います。

〜小泉武夫会長のお話より〜
 『毎年、医者になる医師国家試験には6300名合格しているらしいのですが、農業につく人はたったの5000名です、毎日食べていかねばならない食を作るひとが医者なる人より少ない。医者は病気を治しますが、医者も食べなければ生きていけません。農業は生命維持産業です。生命産業の原点は農業です。食料自給率が低いと日本人は色々な事で大変な事態になります。
 イギリスは自給率が一時50%くらいに低迷していましたが農業振興で今は80%に回復しています。日本はアメリカの影響が大きく、国は農家の自立を助けてこなかった。国民の食料を作っているため、国が72%と云う高額な補助金を補助しているから農家は潰れないが補助の仕方が違うと思う。ヨーロッパは頑張っている農家に手を貸し、補助金も出します。本来、日本の農政もこうあるべきだった。
 他の先進国の自給率はアメリカが128%、ドイツは94%、フランスは132%、カナダは184%、オーストラリアは312%です。先進国の中で日本は39%、深刻で大変なことです。
今、ひとつ子ども達と大人に教育していかなければいけない重要なことは、食べ物の無い国(食料自給率39%の国)が世界で一番食べ物を捨てていること。
農水省の発表で外食産業、料理店、コンビニなどの食べ残しの廃棄量は年間2000万トンにもなると言う。
 毎日新聞社の大迫記者は特集「食べ物最前線」で食べ残しの廃棄量を大人が食べるお弁当に置き換え、弁当1食分を500gとすると、なんと300万食も捨てていることになると言っています。カンボジアの山奥ではひと握りの食べ物が無く何百人も死んでいます。こんな事を続けていると天罰が下ります。
原因は全てどこも皆、作り過ぎです。
売れる分だけ作ればよいのです。誰が操作しているのかと言えば、流通です。
この様な事をしている民族に真の食育はありません。食べ物を大切にする事を教える、農業の大切さ、捨てている現実をまず教えることです。今の日本のように自給率が低く、多くの食糧を海外に頼っては駄目です。
 10月20日のNHKテレビ土曜特集「日本の食と農」で東大の本間先生(政策審議会)は日本の農業は終わった、日本は工業国になったと。車を売って農産物を買えば良いかのような発言をしている。このような考え方をしている人が沢山いますが、子供たちの時代にどうするのか。外国に食糧を頼ったら終わりです。今、貿易交渉WTOやEPAが進んでいくと更に海外から買う事になり自給率は最悪の10%になり、とんでもない事になります。農業は1、2年では復活出来ません。輸出国のアメリカ、カナダ、中国でも、自国に何かがあったら、日本に食糧は入ってこなくなります。このような事態も想定しなくてはなりません。
 食糧は戦略兵器になると言い続けてきました。日本は脅し外交は出来ません。自国に物が無いと外国に媚びて生きていく事になります。海外の物に頼ると安心安全は買えません。農薬、抗生物質、食品添加物使用に文句が言えません。
 安定供給と安心、安全の食は自分たちが作るべきで、農業の大切さを、地産地消を大人に教育し、これからの子ども達に教えるべきです。』

と、おっしゃっていました。
 私も安心、安全は国内で、しかも顔の見える関係でないと買えないと思います。車や電化製品などの工業品がたくさん輸出され物がありふれ豊になりすぎて訳がわからない人が多いと思いますが、日本を支えてきたのはやはり農業です。いまだに私の近くでは、減反政策で何もしていない田畑がたくさんあります。本当に情けない話です。今年も原料調達で奔走し、大変なのに本当に矛盾しています。
 日本の長寿を支えてきたのは、医療の発達もありますが、やはり日本伝統の和食です。古くは風土記に水田では米を作り、畦道に大豆を植えることが記載されています。これが日本の食文化の原点で、水田は米であり主食の御飯です。あぜの大豆は副食の味噌汁です。今の現代の食生活をみると、朝食でハムトースト、玉子を食べ、昼食は中華料理、夕食は肉を使った洋食。和のものや魚を使った和食料理を食べるのは週に4回程度だそうです。
 理想的な日本食は根茎の野菜(大根、蓮根、里芋など)、海藻(昆布、わかめ、もずく等)、魚、大豆(納豆、豆腐、味噌汁等)、米、葉野菜を食べる事です。また和食の素晴しさはカロリーが理想的であるという事です。現在の食生活は戦後まもなく、45年間で油の消費量は4倍、肉は3.5倍に増え、食べる内容が大きく変りました。ヨーロッパ、アメリカ型の食生活になってしまいました。元々、日本食を食べていた民族ですから、45年で草食動物から肉食動物に変ったようなものです。あと、農薬や化学調味料の影響も結果として短期間に生活習慣病、アトピー、花粉症、アレルギーになる人が多くなりました。とにかくみんなで考えないと日本は滅びていくと思います。
 食べ物を作らないのに、食べ物を捨てる日本人、本当にだめだと思います。
 最後に日本が、有機農業大国になりみんなが健康で病院にいかなくなり、みんなが幸せになってほしいと思います。
 長々と書いてしまいましたが、今年も丸中醤油は頑張って皆さんによろこんでいただけるように醤油を育てお届けしてまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

 丸中醤油株式会社
 中居 真和


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