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色つきレジ袋から鉛検出
オルター通信1023号 記事
レジ袋は食品衛生法の規定外だった…
(消費者リポート第1382・1383合併号 より転載)

 2007年10月5日スタートしたレジ袋削減キャンペーンについて1380号でお知らせしました。レジ袋を減らすことは、ごみの発生抑制について考える大切なきっかけとなり、さらに健康を守るためにも必要なことです。


京都市と京都環境保全センターが分析調査
 07年5月26日付『読売新聞』に、京都大学環境保全センターの分析調査から、色つきレジ袋の一部から有害な重金属類の鉛が検出されたことが報道されました。同センターでは、06年12月と07年1月に、京都市内の家庭ごみの中からレジ袋合わせて2487枚を回収し、色や種類別に分類、鉛の含有量を調べました。これは事前に弁当容器や総菜容器などの日用品147点について鉛などの重金属類の含有濃度を測定した結果(表1)、レジ袋からの鉛の検出が多かったことから行なわれました。


EUは包装材の重金属類 合計で100ppm以下
 調査方法は、袋を色ごとに8色に分け、蛍光]線分析法で鉛の濃度を測定し、一部の袋はプラズマ発光分析法でクロスチェック。次に重量も測定しました。その結果、100ppm以上の鉛が検出された袋は30種類120枚。色別では黄色のひとつの袋から最も高い1万6000ppmを検出、橙色や緑色の袋は鉛が検出された袋の数が多く、平均値で260〜1万ppmの幅があり、青色の袋からは鉛が検出されませんでした。また、白と透明の袋からは1件も鉛が検出されませんでした。
 これによって、色ごとに顔料として使われる鉛の出現率に違いがあること、白・透明の袋より色つき袋の方が平均重量も3割程度重い傾向にあることがわかりました。
 EU(欧州連合)では包装材に含まれる鉛、カドミウム、水銀、六価クロムの濃度は合計で100ppm以下と定められています。日本では食品衛生法によって食品の容器包装に含まれる鉛の含有濃度を100ppm以下と定めていますが、レジ袋には適用されません。


輸入品含むレジ袋に有害物質の濃度規制必要
 レジ袋やごみ袋の製造業者でつくる日本ポリオレフィンフィルム工業組合によると、日本では通産省(当時)通達により、以前からレジ袋にカドミウムや鉛などの重金属類を顔料として使用していませんが、中国などから輸入されるレジ袋については把握していないと言います。輸入量も年々増え、最近では国内生産量が減っていることから、実際には相当数のレジ袋が輸入されているようです。ディスカウントショップなどのレジ袋は使わない方が無難でしょう。
 この調査でわかった大手百貨店の鉛入りレジ袋は、05年4月から07年3月まで中国の業者が納入。この百貨店では、同センターと共同で調査にあたった京都市から指摘を受け回収しました。
 『読売新聞』によると、「輸入品を含めたレジ袋に有害物質の濃度規制を盛り込むべきだ」と、調査した京都大学環境保全センターの酒井伸一教授は話しています。
 また、鉛を含んだレジ袋が家庭内に大量にため込まれている可能性やごみとして出された場合の焼却、その焼却灰や飛灰の埋め立てによる溶出の危険も同センターは指摘しています。安易にレジ袋を使わずマイバックにした方が健康にも環境にもいいことは間違いありません。

 
 (植田靖子)


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