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とうふ屋から見た国産菜種油の現状と今後
オルター通信1054号 記事
堀内製油を訪ねて(10月3日)
あらいぶきっちん

 事故米等の一連の騒動で国産作物が見直され、自給率低下に歯止めがかかればいいなと思う昨今です。
 当店といたしましては、原材料となる大豆、にがり、油は国産にこだわり続ける所存でおりますなか、菜種の安定確保が目下の課題であるため、今年よりお付き合いの始まった熊本八代の堀内製油さんに来年度の見通しを伺いに行ってきました。
 まず、助成金が今年度より無くなるために作付けが減少するのではないかという点に関しては、例年通りとの報告を受けているということでした。
 青森は減少気味だけれど、北海道の滝川町(町が補助金を出すそうです)が中心になっていて約230haあり収量も1haあたり3t〜4tとのことです。
 地元八代でも、菜種と米の輪作にすると種子を取ったあとの菜種を鋤きこむことで雑草対策になり除草剤なしでよい米ができると言う利点が評価され、少しずつ作付面積が増えているとのこと。直接農家とお取引している堀内さん自身も今年から阿蘇の麓の牧草地を借りて10haだけ試験的に作付けなさるそうで、現在400〜500tの堆肥(牛糞や油粕等)を入れたところで10月中に播種予定とのことでした。初年度なので収量は期待できないが3年後には30t位はとれるよう頑張ると話しておられました。
 そのような前向きな話とは別に、今年は全量確保が難しかったことを話されていました。不足分は全集連(全国主食集荷協同組合連合会)より買ったそうなのですが、以前は入札だったのが割り当てになり希望量の60パーセントしか入手できず、需要量確保のためには割高でもブローカーから買わざるを得なかったと苦しい状況を教えてもらいました。その上輸入菜種の高騰の影響もあり、予定外に6月に大巾な値上げをせざるを得なかったとのことです。
 来年の価格に関してもいくらになるか心配だとのことで、こちらも大いに心配です。
 これまで当たり前のように手にしていた物への認識の無さと日頃の勉強不足を反省することしきりの思いです。全国的に減少する菜種を逆に増やすべく微力ながらも農家への働きかけのお手伝いの必要も痛感しました。
 堀内製油は現在2代目社長夫妻と3代目の息子さんで頑張っておられます。
 「これまで田舎でこつこつとやってきたことが認められ、知ってもらえてきたことが嬉しい。今年93歳で亡くなった先代が、いい油を食べなくては早死にする、が口癖だったのです。」と話されていたのが印象的でした。
 これは余談になりますが、堀内さんの椿山で採取した椿の実が天日乾燥のため広げられていて、殻から種子を取り出すのは全て手作業とのことでした。また、阿蘇の牧草地にえごまを1.5ha作付け済みなので来年は国産えごま油も楽しみです。
 まとめとしまして、あらいぶきっちんとしては国産菜種油で揚げ類を揚げてゆき続けるためには、全国の油屋さんへの協力の取り組みの必要性を痛感して帰ってきました。
 今後の価格は不透明ではありますが貴重な揚げとして頑張ってゆきますので、ご理解とご愛顧をよろしくお願いいたします。


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