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六ヶ所再処理工場の本質的問題
オルター通信1020号 記事
高レベル放射性廃液の処理に致命的欠陥発覚
  六ヶ所再処理工場のアクティブ試験第4ステップにおいて、「ガラス固化体」の製造工程で、日本原燃の技術に重大な欠陥があることが露呈しました。
 再処理工場では、使用済み核燃料をせん断、硝酸液で処理して、燃え残りのウランと燃えかすの死の灰(高レベル放射性廃棄物)、生成されたプルトニウムを選り分けるという極めて危険な作業が行なわれます。この時、高レベル放射性廃液を溶融したガラス材に混ぜ、ステンレスの容器に入れて冷やして固めたものをガラス固化体といいます。
 アクティブ試験の第4ステップでは、2系統のガラス溶融炉運転性能等の確認を07年11月中旬には終了させ、最終の第5ステップに進む予定でした。ところが日本原燃は07年12月14日、試運転工程の一部を組み換えると発表しました。第5ステップで予定していた使用済み核燃料のせん断を前倒しする一方、固化体製造の性能確認の一部を第5ステップにずらすと言います。

●命と引き換えの綱渡り
 07年12月31日付『デーリー東北』には、「高レベル廃液とガラス原料を溶かして混ぜた溶液の粘り気が徐々に強くなり、容器への注入時間が通常の2倍かかるようになった。当初、炉内の温度が安定しなかった影響などにより、金属類が炉内にとどまっているのが原因と考えられるという」と報告されています。
 これは、東海村再処理工場でも実証された「白金族」に係る、溶融炉にとっての本質的問題が解決していないことを示しています。
 核燃料を燃やす(核分裂させる)と、ルテニウム、パラジウム、ルジウムという白金族元素が生成され、硝酸にも溶けず高レベル放射性廃液の中に残留しているこれら白金族は重いので、炉底部に溜まります。さらに、白金族は電流を集めやすいので、炉内の温度を上げるための電流は、炉底の白金族に流れてガラス材の温度が不足します。炉内の温度が1100℃以上でなければ、長期間の貯蔵に耐えられるガラス固化体はできないといわれています。炉底部の白金族元素の抜き出しを考慮し、炉底部に45度の勾配を採用しましたが、顕著な効果は見られませんでした。
 そこで、溶融炉底部のガラス温度を低温維持してガラス粘性を増加させ、白金族元素粒子の沈降を抑制、ガラス固化体容器への注入操作時に溶融炉底部の加熱を行ない、ガラスの流下とともに白金族元素を固化体容器に抜き出すという「運転技術」の習熟が求められているわけです。
 これはまさに綱渡り運転です。本質的な欠陥が解決されないまま、再処理作業を続ければ、超危険な高レベル放射性廃液が貯層に溜まり続けます。

●原子力安全・保安院に試験中止を要請
 急遽グリーン・アクションなど14の団体(日消連も参加)が呼びかけ、140団体の賛同を得て、「六ヶ所再処理工場のアクティブ試験を憂慮する全国の市民」として、08年1月15日、原子力安全・保安院に「ガラス固化工程のトラブル・実状についての公表及び、ガラス固化工程のトラブルが解決するまで、日本原燃にアクティブ試験をただちに中止させるよう」強く求めました。          

 (富山洋子) 

 (消費者リポート第1394号 2008年2月17日発行より転載)


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