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ごみ焼却炉の周辺でガン
<非ホジキンリンパ腫> の発生するリスクが高い
ごみ焼却炉の周辺で
 世界の環境ホットニュース(GEN)244号[03年7月30日]別処珠樹さん配信記事を オルター通信788号に転載した記事です。

ごみ焼却炉の周辺でガンの一種である <非ホジキンリンパ腫> という病気の発生するリスクが高いとする研究が出ています。この病気は <リンパ球> とよばれる白血球がガン化する悪性腫瘍の一種で、くび・わき・脚の付け根などのリンパ節が腫れてくることが多く、国立がんセンターによると、日本人の発症数は、年間一万人ほどです。
 研究は『疫学』という専門雑誌に発表されたものです。フランスのブザンソン大学の研究者が、ダイオキシンの排出濃度が高いごみ焼却炉(場所は不明)の周辺を調べたところ、非ホジキンリンパ腫の患者がかたまって発生している事例がありました。そこで、この地域を疫学的に調査したものです。

Floret N. et al., "Dioxin emissions from a solid waste incinerator and
risk of non-Hodgkin lymphoma", Epidemiology, 2003 Jul;14(4):392-8

大気から取り込むダイオキシンの危険性!
1980年から1995年までのあいだに非ホジキンリンパ腫の診断を受けた222例について対象群との違いを調べた。その結果、ダイオキシン排出濃度がもっとも低い地域とくらべて濃度がもっとも高い地域では非ホジキンリンパ腫にかかる確率が 2.3 倍高い(95%信頼区間:1.4〜3.8)という結果だった。濃度が中間の地域では特段のリスクが見られなかった。またサンプルになった人たちの社会経済状態の違いを補正しても結果はかわらなかった。
 研究者たちは結論として次のように書いています。「バックグラウンドになっている様々な排出源とくらべ、ダイオキシン取り込み量から考えて焼却炉からの排出はそんなに重要だとはみなされていない。しかし我々の調査結果をみると、都市ごみ焼却炉の近くに住んでいる人たちの間で、環境中のダイオキシンが非ホジキンリンパ腫のリスクを増大させるという仮説が支持されている」。
「セベソ周辺で非ホジキンリンパ腫による死亡率が高いというベルタッツィらの報告も合わせると、大気から取り込むダイオキシンに人々が関心を払ってしかるべきだという仮説が支持される」。
 ただ私は、これが直ちにダイオキシンと結びつくのかどうか、判断を控えたいところです。なぜなら、ごみ焼却炉から排出される有害物質は、重金属類、芳香族炭化水素、有機塩素化合物、ニトロ化芳香族など非常に多くの種類にのぼり、ダイオキシンの量はそれらの指標になっているだけという考え方もできるからです。また、発生したダイオキシンの大半は焼却灰に移行することを考えると、焼却灰の影響がどうなっているのか、あるいは焼却灰に含まれる他の有害物質の調査をさらにすすめるべきではないかとも思います。
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