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自然のままに育てられる 奇跡の栗
カタログ2015年2月1週
草を刈って、栗を拾うだけ。
◆自然のままを心がけて
 熊本県人吉市の木本 千景さんは、父、木本 雅己さんが1978年に定植し15年間放置した548aの栗林で、収穫時に完熟して落ちてくる栗を拾いやすいよう下草を刈る程度の管理、まさに自然栽培で栗を育てています。
 農薬は原則として使いませんが、過去5年間にやむをえず2シーズンだけカミキリムシで倒れそうになった木各々30本程度(2,000本の栗のうち)に農薬(トラサイド)を使用したことがあります。それ以前は放置していたため、カミキリムシの食害が目立っていて、やむをえず実施したもので、これからは農薬の使用は減らせる予定です。カミキリムシに対する普段の管理は、6月頃忌避剤として竹酢液を使うことと、木に産み付けられた幼虫をドライバーで1匹1匹つぶして回ることです。栗園には2,000本以上の栗がありますが、カミキリムシを見逃した木が5年間で60本程度あったということです。
 肥料は化学肥料はもとより有機物も使わず、刈った下草をその場に置いておくだけの無肥料です。
 木本さんの栗林は栗だけの林ではありません。自然の生態系に近づけるよう、様々な木が植えられていて、さながら森林公園のような美しいたたずまいです。
 栗の木は剪定をしていません。木をのびのびと育てています。自分のなりたいように成長した木のかたちはとても美しいものです。正しいものは美しいという信念です。
 栗の実は完熟すると自ら地面に落ちてきます。木の上に実っている栗を無理やり落とすようなことはせず、完熟しておいしく栄養満点になって落ちてきたものだけを収穫しています。農業をしているというより、あたかも狩猟時代のような木の実を集める作業です。

◆夢はアグロフォレストリー
 木本 千景さんは東京農業大学を卒業しました。大学時代、自然農法も少しは学んでいました。パートナーの藤原 俊輔さんとともに、父が15年もたまに草刈りをする程度で放置していた栗園で生きることにし、熊本に5年前の2010年、23才のとき帰ってきました。父が残してくれた1,000本の栗の木をもとに、自然にまかせ、必要最小限の手を加えるだけで栗園をやろうと思い、さらに1,000本の栗の木を植えました。
 千景さんは学生時代に「持続する農業」パーマカルチャーを学びました。様々な作物が上手に混在し、持続可能で体に良い食べものが収穫できるような、熱帯地方で行われているアグロフォレストリーの日本版を実現するという夢を持っています。化学農薬や肥料(有機質堆肥を含む)を使わない今のやり方では、慣行農法より収量はとても少ないですが、自分たちが疑問に思うようなやり方では作物を作っても楽しく仕事はできないと思っています。これからもなるべくストレスのない農業を心がけていきたいとのことです。

◆15年間放置された栗園を再生
 千景さんの父、木本 雅己さんは大手スーパーに勤め、家電コーナーで売り子をしていたことがありましたが、納得できないことの多いその仕事に嫌気がさし、わずか1年で辞めました。
 岐阜県で3家族で農的な暮らしに取りくんだ経験もあります。1978年、27歳のとき、現在の地でサラリーマンをしながら栗園を始めました。当時は農協へ出荷していましたが、ヘリコプターまで使って農薬を撒く農協のやり方にどうしても疑問を持たざるをえませんでした。
 農薬の空中散布など殺虫農薬の使用は1992年を最後に、除草剤は2001年を最後にやめ、栗だけの栗園は不自然だといろんな木を栗園に植えました。その後3年続いた台風の被害に遭って収穫量が激減し、栗園をやめようと決意しました。そうして15年間ほったらかしにしていた栗園を娘の千景さんが受け継ぐことになったのです。
 オルターへの紹介は、京都のアグリジャパン伊藤 雅文さんからです。木本 雅己さんが川辺ダムの反対運動をしていたときに、知り合った京都の学生、森明 香さんが、伊藤さんに木本さんのことを知らせました。



木本千景さんの無農薬栗 (凍)☆☆
■品種
利平、銀寄、筑波、有馬 など

■防除
カミキリムシを道具を使って手でつぶす
竹酢液・・・自家製、50本の栗の木に1本ぐらいの割合でカミキリムシの忌避剤として使っています

■肥料
刈草

■オススメ料理
●ゆでぐり
栗を水に入れ、塩をひとつまみ。沸騰したらそのまま40分。火からおろして、冷めるまでお湯につけておきます。
こうすると、シワシワになりません。あとは半分に切ってスプーンで食べるもよし、きれいにむいて食べるもよし。

■栗チップス
(やみつきになります)
栗をむいて、薄くスライスします。固いのでケガをしないように注意してください。
スライスしたものを油で揚げて、塩をかけたら出来上がり。


市販の栗の 問題点
 栗は中に栗虫が入るため、慣行栽培では農薬を使っています。また収穫した栗の実は臭化メチルで薫蒸をされてきました。
 臭化メチルの使用はオゾン層を破壊するとして、モントリオール議定書で全廃(検疫は除く)となり、製造を終了しています。代替農薬の開発が進められています。



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



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