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私たちの飲料水も、田畑の灌漑用水も、沿岸の海藻も、山の緑なくしては存在しません。まさに山は生命を育む大切な存在なのです。 その山に対して、戦後、針葉樹である杉や桧に偏った植林がなされ、水源涵養林としての役割を果たし、かつ動物たちのエサが豊富な広葉樹林が乱伐されてきました。 |
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一方、輸入材木の増大で、日本の林業は疲弊し、手入れもされず放置されたままの山林が広がり、林業に従事する後継者も減少し、山里の生活が滅びようとしています。山が滅ぶということは、里が滅び、国が滅びることとなるのです。 琵琶湖に注ぐ、安曇川の支流、針畑川の最上流の朽木(くつき)村、すなわち淀川の水源の1つである朽木村で、山里の暮らしを守るNPO法人杣(そま)の会が活躍しています。その中心メンバーの今北哲也さんは、大学で林業を学んだ後、全国の山林を見て回り、この朽木村に1975年に入植し、山里を守る活動に取組んでこられたのです。 福井県および京都府と境を接する朽木村は、関西では珍しい豪雪地帯です。有名な芦生(あしう)杉の天然分布も広がっています。ここで杣の会は、まだブナなどの多い山林27haを都会の人々に呼びかけ、共有林として所有し、活動しています。活動当初は山小屋建設や歩道の開削から始まりました。現在、環境に配慮した森林管理をしていることを認証する、森林認証FSCの取得準備を進めています。今では、小中学生を対象とした、原始的炭焼き「伏焼」や草木染などにも取組んでいます。 また、空山と呼ばれる雑多な広葉樹林から富を生み出そうと、炭焼き、シイタケ栽培、山菜、餅、漬物、ハチミツなど縄文食、伝統食をテーマに様々な品物作りに取組んでいます。 この今北さんらの活動を、最も脅かしているものは、近年頭数増が目立つ鹿による食害なのです。畑の野菜はもとより、木の皮をはいで枯らしたり、山菜、クマザサ、ワサビまでどんどん食いまくっているのです。 オルターとして、この山里を守る杣の会の活動に賛同し、できるだけ応援したいと考えて、その生産物をシリーズで取組んでいきたいと思います。 まず今回は、子供の日に向けて、昔懐かしいちまきをご紹介いたします。砂糖も使わず、クマザサの香り高いちまきです。
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石臼挽き古代ちまき(紫黒米入り) 朽木村針畑地域では、今も5月の節句にはちまきを作って食べる習慣が続いています。かつて田植え時(サツキ)には、結(イイ)仲間の五月女(サオトメ)たちにケンズイ(おやつ)として、必ずちまきを振舞う慣わしがありました。門前に吊るされ、 魔除の印ともされます。山笹の抗菌効果で、保存食とされています。今回お届けするちまきは、冷凍です。
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◇ 食べ方 解凍し、そのまま蒸すか、熱湯でゆでて柔らかくなったら出来上がり。間をおくと 笹離れがよい。粉もちの風味をそのまま楽しむか、きな粉、砂糖などをつけて食べる。
◇ 原 料 ・もち米 例年なら地元の仲間、奥谷ファームの無農薬 もち米を使用しているのですが、今年は昨年の 異常気象でもち米が極度に不足したため在庫が なく、国産(兵庫県産)の慣行農法のもち米(精白 米)をやむなく使用します。 ・紫黒米 百菜堂グループ(群馬県)の無農薬米(玄米) ・うるち米 朽木村、奥谷ファームの無農薬米(精白米) 包材 ・クマザサ 安曇川源流域の山野でグループメンバーが採取 ・ガマ 安曇川源流域の湿田で栽培グループメンバーが採取 ・イグサ ガマが不足するので、イグサ(熊本)で補っています。
包材とするクマザサは、前年の冬の雪降り前に取り集め、一定の数をワラで束ねておく。小屋の2階などかびない風通しのよいところに吊るして、乾燥保管しておく。 ガマは前年の初夏(7月頃)に刈り取り、株元を丁寧に沢水で洗い、裂いて、軒下で天日乾燥し、屋内に保管しておく。
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@採取し、保管しておいたクマザサとガマを流水で戻す。 Aそれを大釜でゆでる。 Bお米は精白もち米、紫黒米玄米、精白うるち米、それぞれを水に一晩浸けて、米の芯 まで水を含ませる。 C浸漬した米をサラシ布で水気を取る。 D粗挽きをする。 E石臼(電動)挽きで仕上げる。 F餅つき機の竪杵(タテギネ)で付く。 G木鉢で手ごね仕上げをする。 こね水はクマザサを熱水抽出した液を使用。 H1ウスごとに量りにかけ、ちまきの形に均等に 分ける。 Iクマザサ5枚で粉もち1本を巻く。 Jガマを裂いて、クマザサで包んだ粉もちを縛る。 K沸騰した大ガマの中にちまきを入れて、ゆで上げる。 L一晩水切り。 M白3本、紫黒2本を細縄で1把に結わえる。 N脱酸素剤を入れ、包装し、冷凍保存。 ※砂糖、食品添加物は使用していません。
※手作りのため、数量限定となります。 冷凍 賞味期限 5月10日(製造は出荷の1週間以上前に行っています) 保存方法 10℃以下に冷蔵、または冷凍。開封後はお早めにお召し上がり下さい。
文責:西川栄郎
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