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本場を凌ぐ野迫川村在来種わさび☆☆☆
カタログ2016年5月2週号
自生の在来種を代々自家採種して栽培してきた、 香り高くおいしい 2年もののわさび。
◆柏谷さんの遺志を継いで水害から復活
 2011年9月の集中豪雨による大水害で企画が中止になった(オルターカタログ2006年5月2週号でご紹介)柏谷わさび農園、柏谷 義美さんのわさびが復活しました。柏谷さんは2012〜2013年にかけてそのわさび園を復旧し、やっと収穫の目処が立ってきた 2015年7月22日に突然のご病気のため急逝されました。
 柏谷さんのわさび園は、野迫川村わさび組合の仲間、津田 晃さん、津田 宣幸村会議員、増谷 良栄さんの元野迫川村役場職員の3名の方々に後継していただけました。

◆本場のわさびは見かけ重視
 わさび栽培の適地は、標高1,000m以上の山の北側で、夏冬の温度差のない湧き水があるところです。砂地が適しており、泥地ではだめです。国内では伊豆天城山系など静岡県が産地として知られていますが、現在ではバイオ技術やF1交配種を栽培しています。
 見かけはきれいなわさびとして出荷されていますが、それら最新品種が天城山系の火山灰地の環境に合っていないのか、必ずしも味がよいとはいえません。

◆大切に育てた在来種
 津田さんたちは、奥高野とも呼ばれる奈良県吉野郡野迫川村で、関西ではたいへん珍しくわさびを栽培しています。標高1,340mの伯母子岳北側の中腹800〜900mの渓流の水質はたいへんよく、わさびに合っていて、本場静岡県より品質は上質だといえます。
 野迫川村のわさびがおいしい最大の理由は、この地域で古来大切に守ってきた在来種の親株から種を自家採種していることです。わさびは自家受粉のほうがよい品質が保てます。他のものと交配受粉するのはよくないとのことです。もともと自生していた在来種のわさびを代々その環境に合わせて育てていることが、おいしい味の秘密なのです。種採りが大切なだけでなく、種を採る親株の選別も大切です。
 野迫川村や護麻檀山では、戦前(昭和初期)からわさび作りが行われてきましたが、戦争で中断しました。戦後、柏谷さんらは野迫川村の十数人の仲間と村おこしを考えてわさび作りを復興させたのです。野迫川村は現在村民460名と超過疎地になっています。
 オルターへの柏谷さんのご紹介は、しいたけなどきのこの生産者、川崎 昌助さんです。

◆自生するほどわさびの適地
 野迫川村のわさび栽培地は、ひとつの渓流で50〜60平方メートルのわさび田を作っています(ちなみに静岡県ではひとつの渓流で300平方メートルものわさび田をまかないます)。砂の深さは約15cmくらいです。わさび田は3ヶ所で合計約2反の面積です。広葉樹林に囲まれ、良質な水が流れています。渓流は湧き水で冬でも凍ることはありません。わさびはこの清流に含まれる豊富な酸素やミネラルに育てられます。
 種子の採取は6月半ばに行います。採った種子を網の中に入れて水中に保管しておくと、サヤがなくなり種子ばかりになります。その種子に種子の3倍量の川砂を入れて土中に保管し、種をまく1ヶ月前に砂の中のままの種を冷蔵庫に保管します。
 種まきは10月にハウス内の土へ直まきします。すなわち実生で苗を作ります。7〜10日で発芽し、本葉が2〜3枚でてきたところでハウス内でもう1回苗を移植します。根が分株するほうがよいからです。苗用のハウスの土には牛糞堆肥(農協より購入)と付近にあるカヤを肥料として使っています。土壌燻蒸や農薬は使っていません。
 渓流にある本圃場への苗の定植は、翌年の4月〜6月に行います。連作障害を避けるため、よく洗って真新しく準備された砂地のわさび田へ植えるのです。本圃場では農薬はもちろん、肥料も使いません。冬期にはビニールで覆いをして苗の冷え傷みを防ぎ、夏期には寒冷紗を使います。害虫としては飛んできて葉っぱを食害する黒くて小さい虫、カブラババチがいます。これは防虫網を使って対応しています。
 収穫は苗を本圃場に定植してから2年後の4月〜10月に行います。種まきから3年目の収穫になります。この間、仕事は水の中の労働になります。市販のバイオ苗を化学肥料で太くした1年もののわさび根と比べて、2年ものの野迫川村のわさびは少しスマートですが、身が引き締まっていて香りがよく、食べておいしいものです。収穫した根の「大」はオルターや料理屋へ、「中」はそば屋へ、「小」はすりおろしてわさび漬に使います。
 わさびの花芽の収穫は4月のごく一時期しか行いません。わさび漬に使う茎は花芽のあとに伸びてくるやわらかい時期の茎を使います。4月20日頃から6月〜7月頃まで収穫し、あとは芯の部分の柔らかいところを収穫します。

◆わさびは香りがいのち
 野迫川村わさびは4月下旬から11月いっぱい企画があります。1〜2本70g前後と表示していますが、実際は少し多めに入っています。香りがいのちですので、届いたらできるだけ早くお召し上がりください。
 保存方法は、エンバランスの鮮度保持容器に水を入れ、ブラックソルトを少々(500mlに耳かき1杯くらい)入れ、冷蔵庫で保管し、ときどき水を交換するのが一番おすすめ。エンバランスの保存袋の中に、濡れ布巾などで湿らせて生えている方向に立てておくのもいいでしょう。そのままでも家庭用冷蔵庫で20日間くらいは保存可能ですが、保存条件によっては香りが抜けてしまいますのでご注意ください。

◆吉野コスモス会ですりおろし
 根わさびが使いにくい方は、この野迫川村わさびを社会福祉法人の吉野コスモス会ですりおろして冷凍したものがありますので、ご利用ください。年中利用が可能です。

◆わさびの花芽の三杯酢漬
 4月初旬だけわさびの花芽を楽しむことができます。このわさびの花芽を三杯酢漬にしたものは、シャキシャキしてとてもおいしく召し上がれます。
 わさび粕漬は、今回の企画は無理ですが、来年以降復活したいと考えています。


市販のわさびの 問題点
 香りの高い在来種ではなく、形が見かけのよい促成栽培用バイオ苗になっています。苗の段階で除草剤や化学肥料を使っています。化学肥料は生育によくありません。土壌燻蒸も行われることがあり、昔はフロンガスや強い農薬が使われていました。市販のわさびはほとんどが化学肥料で太くした1年物で、そのため香りが弱いのです。
 市販のわさび漬の一例。茎わさびは少ししか使わず、ほとんどは野沢菜や大根など他の野菜でごまかしています。還元水飴、発酵調味料、醸造酢、わさび粉、酒精(アルコール)など粗悪な調味料が使用され、香料、増粘多糖類、着色料など食品添加物も使われています。



―文責 西川榮郎(NPO 安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



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