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自然農法にチャレンジ
カタログ2011年5月2週号
畑のいのちと食べる人のいのちをつなぐ、
食べる人の健康を考えた野菜作り。


◆いのちといのちを結ぶ仕事
 京都府京丹後市の梅本農場、梅本修さんは、300アールの畑で露地野菜を中心に、無農薬、無化学肥料でほぼ自然農法というべき野菜作りをしています。使う資材は、刈草や自家製ぼかしなどの植物性の堆肥と、カキガラなどのミネラル分です。
 梅本さんの、ここ数年の農業技術のレベル向上には目を見張るものがあり、農業者として将来大成なさると大きな期待を感じています。
 梅本さんは、農業とは「いのちといのちを結ぶ仕事」と考えています。土の中には微生物、ミミズ、昆虫などの生きもののいのちがあり、野菜はそれら畑の全てのいのちを受け継ぎ、食べてもらう人のいのちへとつながっているからです。土作りの基本は微生物が作る土だと考えています。したがって、不要な耕起は表土の微生物相を乱すので、不耕起を心がけています。また、畑の土の中にいる微生物は、生きているものと共生する微生物と、死んだものを食べる微生物がいると考えられます。微生物のためには、畑には生きた野菜や草がないとだめで、いたずらに畑を休ませないようにしています。例えば人参の収穫中にレタスを植え、新しい根が常に土の中にある状態を心がけています。

◆子どもに誇れるほんものの仕事
 梅本さんは、神戸大学農学部で農芸化学を専攻し、流行のバイオテクノロジーを学び、ある大手食品メーカーに就職し、その東京本社でインスタントラーメンなどの宣伝を任されました。
 しかし、
@自分のものとして感じられる仕事がしたい。担当者に過ぎないラーメンの仕事ではなく、人間としてほんものを追求できる仕事がしたい。
A長男が生まれたことをきっかけに、将来父として社会に貢献をして子どもに誇れるような人生を送りたい。
B農作物輸入自由化で、日本の農業の危機が叫ばれた、1993年のウルグアイラウンド交渉を見て、農業がどん底にある今こそ、逆にチャンスがあるのではないか。
Cもともと、山スキーや登山が趣味、宇宙が大好きという自然観。
そして、新しいもの好きという性格と農業をやってみたいという理由から、会社勤めを続けながら日本の農業について勉強する日々が続き、97年に退職して、現在地、丹後国営農地開発事業の造成団地に入植しました。

◆入植の苦労
 入植地の候補は、全国で5ヵ所ほどありましたが、土地取引条件面で合ったこと。奥様、明子さんの実家が大阪で近いこと。父方の祖父が丹後の宮津市で兼業農家を営んでいたことから、現在地への入植を決めました。
 入植したものの、JAや町は指定作物のバックアップがなく、たいへん苦労させられました。当初、お金がないと土地も貸してくれなかったり、自由に作付作物を選べなかったりしました。それでも入植した33才から39才までの6年間で信用も売上げもついて、軌道に乗せることができました。

◆学校給食を地元食材で
 有機農業、自然農法に切り替えたきっかけは、39才になった2003年に京都市内の給食配送会社の見学のおり、小学校や病院の給食の食材に中国産輸入野菜が多用されているのを見て、びっくりしたことでした。京丹後は食材の宝庫といわれているのに、給食にはオーガニックどころか、地元産食材率が30%あるかないかなのです。「日本や世界の将来を担う子どもが、しっかりと健康に育つためにはこれではダメだ!」と、全ての給食食材を京丹後産にすべく、活動を開始されました。
 2010年には7名の農家と学校給食委員会を立ち上げ、教育委員会への提案、協議、学校栄養士さんとの懇談を重ね、京丹後のコシヒカリ新米とサワラを子どもたちに食べてもらう、10月1日「京丹後新米、サワラの日」を実施させるという第一歩を果されました。

◆感動的な農業に取り組む姿勢
 この給食の運動をするまでは、農協の担当者がほしい野菜を作っていました。食べる人の気持ちや喜びを考えることはありませんでした。しかし、給食の運動は自らの足元を問い直す大きなきっかけになりました。農薬や化学肥料を使っていた自分の農業にも反省がありました。農薬や化学肥料で作った人参が腐りやすいことにも気がつきました。慣行栽培を脱却するためには、有機農業で土作りが重要だと理解しました。
 まずは化学肥料を牛糞堆肥に替え、農薬には代替資材を求めました。最初は100アールで無農薬無化学肥料栽培を実施、さらに140アールで有機JAS認証を2007年に取得し、さらに拡大中です。
 その後、野菜を過保護に育てるのはだめ、メタボ野菜には虫も寄ってくると気づきました。EM農法の田中功さんや農業技術会議の西村和雄先生の指導を受け、自らの落葉で腐植土を作る森の中の仕組みはすごい!と、ここ2〜3年急速に自然農法に傾いていきました。
 2年前、私が畑に訪れた時、土の微生物のためには畑の土を裸にしない方がよいとアドバイスを差し上げたら、翌年には畑にはたくさんの敷草をされていました。梅本さんの農法は日ごとに進化しています。食べる人の健康を保つ野菜作りに挑戦し続け、真摯に向かう梅本さんの姿勢は、じつに感動的です。
 梅本さんの夢は、農家・消費者にとっても、オーガニックが当たり前になる世の中になることです。


梅本農場の有機(★★★ ☆☆☆)野菜
●作付品目
大根、トウモロコシ、そら豆、黒枝豆、キヌサヤエンドウ、スナップエンドウ、賀茂ナス、ナス、万願寺甘とうがらし、ごぼう、こかぶ、小松菜、ほうれん草、玉ねぎ、ニンニク、人参、キュウリ、かぼちゃ、ミニかぼちゃ、ズッキーニ、インゲン豆、サラダレタス、ねぎ、トマト、クッキングトマト、ミニトマト
野菜セットや単品野菜で出荷しています。

●防除
自然の力を活かし、自然農法を目指しています。農薬の使用はありません。有機JAS認証(140アール)あり。

●施肥
河川敷の刈草を敷くのが基本。EM菌を活用し、自家製ボカシ肥料を使っています。
ミネラルの補給にカキガラや海水、海草青汁を利用。籾殻堆肥、魚粕肥料、ゴマ油粕、米糠、貝化石なども適宜使っています。



―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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