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有機の環境で飼育されている日本みつばちのハチミツ
カタログ2014年8月2週
四国石鎚山の山麓で飼育され農薬、抗生物質、殺ダニ剤の心配がありません。
◆薬漬けの西洋みつばちからの脱却
 愛媛県今治市にある(有)ビーラインの越智 孝代表は、日本古来からの在来種、各地で土着して生き抜いてきた日本みつばち養蜂こそ、薬漬けの西洋みつばちから脱却する、これからの日本における養蜂の王道であると考え、今治市を中心に日本みつばち養蜂に取りくむ仲間を集めています。
 オルターへは、それら日本みつばち養蜂家のうちハチが飛翔する周囲4kmに農薬を使っている田畑がない、石鎚山系の山麓地帯で巣箱を設置している仲間のもの、いわば有機ハチミツと呼ぶにふさわしい日本みつばちのハチミツを限定して出荷していただくことになりました。

◆加熱していないハチミツ
 ハチミツは採蜜後一斗缶でオルターに運び、社会福祉法人自然舎・精神障がい小規模通所授産施設クラフトハウス(オルターカタログ2005年8月4週号参照)でビン詰の際、一切の熱を加えず、常温のままビンに小分けします。ハチミツは牛乳と同様、加熱にたいへんデリケートな食材だからです。

◆ヤミ使用もある抗生物質
 明治時代に日本国内へ導入された西洋みつばちは、法定伝染病アメリカ腐蛆病の問題があります。そのため抗生物質が使われ、ハチミツへの残留が問題となっています。その抗生物質は認可のあるものやヤミで使用されているものもあります。

◆日常的な殺ダニ剤の使用
 昭和40年頃から養蜂業界でダニの被害が問題になり始めました。原因は昔からいたミツバチへギイタダニに海外からの輸入養蜂生産物からウイルスなどが感染し、そのウイルスをミツバチへギイタダニが媒介するようになってしまったと考えられています。ミツバチへギイタダニは、単純に吸血によってみつばちに害を及ぼすだけでなく、ノゼマ病や麻痺病ウイルス、縮れ翅ウイルスを媒介し、より深刻な病気をみつばちにもたらす可能性が高いと考えられています。そのためハチの巣箱にみつばち寄生ダニ用殺ダニ剤が日常的に使われるようになりました。

◆抗生物質、殺ダニ剤不用の日本みつばち
 日本みつばちは西洋みつばちとは異なり、スズメバチや寄生ダニなどの天敵に強く、抗生物質や殺ダニ剤も不要で、それらからハチミツが汚染される心配はありません。ただし、ハチミツの生産量が少ない、飼育中に逃亡する、飼育管理法が完成していないという欠点もあります。

◆ネオニコチノイド農薬によるハチの群の絶滅
 世界的にハチの群が死滅している蜂群崩壊症候群の原因として、浸透性農薬・ネオニコチノイド系農薬が問題視されています。EUではネオニコチノイド系農薬(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)の規制、禁止措置がすでに始まっています。また韓国でも EUにならった規制を始めています。しかし日本では全く野放しのまま、国内使用農薬の10%程度にまで、その使用率が高まっています。そのためハチの激減の原因になるだけではなく、人体に対しても中毒症状が確認されるほどになっています。
 ちなみに、オルターでは実質的にネオニコチノイド系農薬の追放を達成しています。

◆巣に運ばれる農薬
 このネオニコチノイド系の農薬の中には殺虫剤であっても、モスピラン(アセタミプリド)のようにハチがすぐには死なないため巣箱に持ち込まれ、ハチミツを汚染するおそれのある農薬が登場してきています。そのようにハチが農薬を巣に持ち帰るおそれのある農薬は他にもあります。脱皮阻害剤や殺菌剤や除草剤などは、同様にすぐにはハチが死なないため、ハチの体内に取り込まれる恐れがあります。現実にミカンに使われた農薬アセタミプリドが検出されたことも起きています。

◆ハチをシンボルとして地域の無農薬化を
 したがって人が農業活動をしている地域では、もはや無農薬のハチミツを採蜜することは、西洋みつばち、日本みつばちの養蜂を問わず困難であり、ハチの活動エリアに農薬を使う田畑や果樹園のない自然の中で行う養蜂すなわち、ハチの飛ぶ環境が守られた自然の中で行う日本みつばちの養蜂こそが、これからの養蜂のあり方だと考えます。ハチが生きられる自然環境を守っていくこと、それはほかならない私達人間自身を守ることになるはずです。
 これからは養蜂を行うことは、その地域全体の無農薬化を実現することにつなげられなければなりません。オルターとしてもみつばちをシンボルとして生きもの全体を守っていく活動に取りくんでいきます。

◆日本みつばちのハチミツの薬効
 これまでのオルターとしての日本みつばちのハチミツの位置づけは、胃癌の手術あとや胃かい瘍の薬として、紀州徳川家の時代から伝承されてきた、高価なハチミツという評価で取扱ってきましたが、これからは農薬や殺ダニ剤、抗生物質などの有害な化学物質の汚染の心配のないハチミツとして、日本みつばちのハチミツを改めて位置づけ直し、推奨してゆく必要があると考えています。

◆養蜂業界をよくしようとして受けた政治的圧力
 越智 孝さんの父、越智 国一さんは、昔今治で漆器作りをしていました。漆には湿潤剤としてハチミツが混ぜて使われていたことから、やがて趣味的なハチミツ作りのため養蜂を始めていました。その父の養蜂を受け継ぎ本格的に養蜂業を始め、(有)ビーラインを設立した越智孝さんご自身は、ハチの巣箱を最高1,000箱も持つ養蜂家となりました。しかし、西洋みつばちの養蜂が安い輸入ハチミツに押されたこと、レンゲやミカンの蜜源の減少、異常気象(暑さ、渇水)などによって先の見通しがなくなったうえ、養蜂業界で薬品使用などについてあるべき姿を求める発言をしていたことで、ハチのエサの免税砂糖の仕入れに政治的圧力を加えられ、廃業せざるを得なくなりました。現在はお子様の病気の治療のため移住した妻の国オーストラリアのタスマニアと日本とを往き来し、女王蜂を日本へ輸入する仕事をしています。

◆日本みつばちの復活を
 そのような経験の中で、日本みつばち養蜂に出合い、その本質的な意味に気づき、2012年1月に日本みつばちの養蜂を始め、その復権に向けた活動を始めました。
 今治市周辺は日本みつばち養蜂が日本で一番盛んな地帯と言ってよいでしょう。地域のいたるところに日本みつばちの巣「胴(ドウ)」が置かれています。蜜源の取り合いとなって共倒れする巣もあるはずです。
 日本みつばちの復権には、その価値や意味を理解する消費者が育たなくてはなりません。日本みつばちが特殊で、高いハチミツではなく、安心して食べられる当たり前のハチミツとして消費されてゆくように、オルターとしてみつばちの運動に取りくんでいきたいと思います。


ビーラインの日本みつばちハチミツ
●生産者
石鎚山系の山麓で養蜂している生産者に限定

●製造工程
巣箱からハチの巣を取り出し、ハチミツが蓄えられた巣を粉砕して
遠心分離機でハチミツを分離。18L缶に入れる。全て常温管理。
小分けはオルターの福祉作業所クラフトハウスで実施。

◎瓶詰めされたハチミツについて
 このハチミツは花粉もたっぷりと含まれて、風味があります。
 今回ご用意したハチミツは昨年から常温保存されて一部が白く結晶化、凝固しています。初夏から秋に収穫されたハチミツは溶けていますが、気温が10度くらいになると凝固が始まります。そして翌年、瓶の中で一部は暖かくなった気温で再び溶けています。
 このハチミツは花粉が多く含まれ、加熱処理をしていないため、気温の変化で凝固していたハチミツにしばしば発泡が起こります。長期保存するときは冷凍をお勧めします。
 花の咲き具合や天候などで毎年、収穫の量や品質や風味が違っています。糖度の高い風味の良いものをできるだけ安定してお届けします。


市販のハチミツの 問題点
 西洋みつばち養蜂ではハチの法定伝染病、腐蛆病が問題です。そのため抗生物質が使われ、ハチミツへの残留が心配です。残留の心配な抗生物質は、ミロサマイシン(日本)、オキシテトラサイクリン(アメリカ、オーストラリア、中国、アルゼンチン、カナダなど)、タイロシン(アメリカ)などです。ほかにも無認可のままヤミで使われているペニシリン、セファロスポリン、クロラムフェニコール、ストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、エリスロマイシン、クロルテトラサイクリン、テトラサイクリンなどがあります。サルファ剤スルファチアゾールも使われます。
 また ハチの深刻な病気ノゼマ病、麻痺病ウイルス、縮れ翅ウイルスを媒介するミツバチへギイタダニに対する殺ダニ剤アピスタン、フルバリネート、クマホス、アミトラズも使われています。
 これら抗生物質や殺ダニ剤乱用による耐性菌問題も起きています。
ハチがすぐには死なない農薬もあって、それらは巣にもち帰り、ハチミツの農薬汚染も起きています。
 中国産ハチミツでは毒性の強いニトロフラン類が使われることもあります。中国ハチミツのような安い粗悪なハチミツが産地偽装されていることもまれではありません。
中国産のハチミツに対して輸入制限した国に向け、第三国経由で輸出したり、中継国で中国産を混ぜ、生産国を変えたりするような手の込んだ偽装もあります。
 ハチミツには、ハチからハチミツをとり上げたあと冬用のエサとして大量に与えられる砂糖を巣箱に持ち帰った砂糖が混入していることがあります。春先そのような巣箱の中の砂糖混入蜜をいったん除去しない養蜂家がいるためです。
 製品に異性化糖(トウモロコシ)、水アメ(イモ類デンプン由来)、ブドウ糖、砂糖(甘蔗糖、ビート糖)などを混入している偽物ハチミツ「加糖ハチミツ」もあります。
 ハチミツは牛乳と同様、加熱の影響を受けやすいたいへんデリケートな食材として知られています。海外から輸入してくるドラム缶を高温で湯煎したり、蒸気棒で加熱したり、せっかくの栄養素を壊しているケースも一般的です。



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



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