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紀伊水道で獲れた天然えびと天日塩を使って 色鮮やかに仕上げた小川弘商店の干しえび。
干しえびはワカメ、スダチと並んで徳島県の名産で、そうめんつゆに欠かせない一品です。秋なすなどと煮付けると、干しえびのだしが効いた滋味あふれる煮物ができ、酢のもの、スープの素、中華料理の具、酒の肴などにもたいへん重宝に使えます。 約30年前に、徳島で私が無添加の干しえびを探したところ、合成着色料などの添加物使用のものしかなくて、開発を断念したことがありました。ところが今年になってJF徳島漁連から「香川県津田の小川弘さんが、無添加の干しえびを作っている」という連絡を受けました。あれほど探しても見つからなかった無添加の干しえびがあるとの情報に半信半疑でしたが、さっそく調査したところ、小川弘商店の干しえびはたいへん質の高い立派なものでした。 小川弘商店の小川弘さんは3代目です。加工場は津田漁協の前で、津田港に隣接しています。その港で水揚げしたチリメンジャコやイリコの加工を始められたのが初代でした。干しえび加工を本格的に始められたのはお父様の時代ですが、30年前には着色をしない干しえびはスーパーなどでは見向きもされなかったとのことです。 小川さんが無着色の干しえびを作るようになったきっかけは、岡山の自然食品店のアドバイスでした。合成着色料を使うことに常々気分が悪かったので、それをきっかけに無着色に踏み切ったそうです。「今ではスーパーでさえ、安心安全でおいしい無着色の干しえびの良さを見直すようになりました」。小川さんの先見の明に、時代がやっと追いついたということでしょう。
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小川さんは「他の業者と同じことをしていては売れなくなる」と、高い品質を守るために独自の製造上の工夫をなさっています。その結果、他の干しえびとは味や色がはっきり違う高品質の“小川弘ブランド”が認められるようになりました。今では百貨店やスーパーなどから引く手あまたで、品薄になっています。百貨店では贈答用として、平年でも1kg10,000円〜12,000円で販売されているそうです。 この素晴らしい干しえびは今のままだと後継者がなく、現在65才の小川弘さんが引退なさると食べられなくなってしまいそうです。えびのある時期は6〜9月と限られているので、1年中干しえび加工ができるわけではなく、小川さんも12〜3月は香川県漁連で海苔の検査員の仕事をなさっています。こういう事情も後継者難につながっています。 今年は他の漁獲と同じく、えびも不漁続きで、この干しえびはたいへん貴重品となっています。したがってオルターでの年内の企画は今回1回限りの予定で、次の企画は来年の豊漁を待つことになります。この機会をお見逃しなく、長期保管は冷凍庫で。
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小川弘商店の無添加干しえび(天日塩を使うことで、えびの旨さが口に残ります。) |
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●原料 ガザエビ、コシナガエビなど…主な仕入れ先は徳島市漁協。紀伊水道で底曳きで水揚げされています。その他、沼島産、不足時は今治産です。 塩…讃岐ましお(株)の「瀬戸のあらじお」。原料はメキシコ産天日塩もしくはオーストラリア産天日塩。
●製造工程 @急速冷凍 漁協で水揚げされたえびは鮮度低下を防ぐため、すぐに急速冷凍します。酸化させないよう保管はせいぜい2〜3日程度です。 A解凍 カゴにえびを入れ、シャワーのように水をかけ解凍します。 B水洗い ステンレス製のカゴにえびを入れ、井戸水と海水を混合した水槽の中で空気を吹き込んで、えびを水洗いします。 C炊込 天日塩の塩水でえびを約3〜5分ボイルします。 |
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D乾燥 ボイルしたえびをセイロにのせ、乾燥機で80℃約5時間乾燥します。 E殻取り まだ温かいうちに、皮むき機で殻と身(干しえび)をむき分けます。 F唐箕(とうみ)選 唐箕機を使い、風で殻と身を分けます。 G選別 選別機を使い、干しえびを選別します。 H唐箕、金属探知、目視選別で異物などを除去 I包装 J冷凍
●食べ方 ・そうめん、うどんの麺つゆ作りに少々入れて ・中華料理や酢の物、ばらずしに加えて ・野菜の煮物に加えて ・そのまま子どものおやつや酒の肴として。 ●保存 要冷蔵−18℃以下、賞味期限90日。常温で放置すると変色をきたします。開封後はお早めにお召し上がりください。
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市販には日本の技術を教えて作っている中国産が出回っています。しかし、国産の干しえびと比べてみるとなぜかおいしくないのです。えびの獲れる海域の差ではないかと思われています。 安全性の面では、中国産には合成着色料・赤色102号が一般的に使われているほか、酸化防止剤、保存料など何が使われているかよくわからず、その安全性に不安があります。国産の干しえびには以前のようなどぎつい着色をするものはなくなっていますが、安価な中国産に圧され、国内の製造業者はすでに激減してしまっているのが惜しまれます。
ー文責 西川栄郎ー
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