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◆安全でおいしい鶏肉作り オルターカタログ 2010年1月4週号で、米沢郷牧場伊藤 幸蔵代表が輸入のトウモロコシ(ポストハーベストフリー)を、地域の飼料米などの米に切替えて、自給率を向上させる試験的な取組みを行っていることをご紹介しました。その後、米沢郷牧場グループまほろばライブファーム(肉用鶏の生産部門)ではエサの改良を進め、ついに国産原料99%のエサで鶏を飼育することに成功しました。 もちろん米沢郷牧場が目指してきた、抗生物質無投薬、NON−GMO(非遺伝子組換え)の安全で、柔らかく弾力があり、ジューシーでありつつ、水っぽくなく、味がよくあっさりしていて、香りがあるが臭みがない鶏肉の特徴は健在です。
◆ヒナから国産飼料99%で飼養 国内のたまごや鶏肉生産のための飼料原料の自給率は10%程度です。しかもポストハーベスト農薬汚染や遺伝子組換え問題のある輸入トウモロコシが主体です。 米沢郷牧場ではこれまで、トウモロコシはPHF(ポストハーベストフリー、収穫後農薬不使用)、NON−GMO(非遺伝子組換え)を使い、大豆かすにも、NON−GMOのものを使ってきました。 輸入穀物の国際相場の高騰もあって、飼料の自給体制の確立をめざし、2001年から稲のホールクロップサイレージ(茎、穂をいっしょにサイレージにする方法)に取組み、2004年から規格外米やくず米の導入実験を始めました。2006年からはさらに地域の仲間と飼料米を栽培し、その活用に取組みました。2009年には米を中心に国産原料を77%使った米鶏の試験供給を開始していました。 そして、地域の飼料米をはじめ、域内の鮭かす、酒かす、米ぬか、近隣の大豆かす、魚粉、醤油かすなどの未利用資源を独自に設計し、ヒナからはじまる全飼育期間で、ついに国産原料99%の飼料での飼育を達成しました。
◆地域循環型農業のお手本 米沢郷牧場は先代の伊藤 幸吉さんの時代から、有畜複合・地域(資源)循環型農業を常に実践されてきました。 飼料米を作って水田を守り、飼料米と未利用資源を給餌した鶏の糞は完熟堆肥として耕地に還元し、地域農業を活性化します。耕作と畜産農家の連携、健康で安全に育てた鶏肉を評価できる消費者の存在があって、日本の地域循環畜産が成立します。今回実現した99%国産飼料飼育の「こめっこ鶏」は日本の食料自給率向上、自給飼料拡大に向けた大きく輝かしい、更なる一歩として評価されるべき取組みです。 米沢郷牧場についての詳しいご紹介は、オルターカタログ2010年1月4週号をご参照ください。
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■品種 ブロイラー
■エサ ●玄米・モミ米 ・米沢郷牧場グループ 地元「置賜地区飼料米生産利用協議会」の会員の飼料米とモミ米(オルター基準 ◇) (山形県産) ・あゆみの会(オルターカタログ 1999年10月3週号、オルターカタログ 2010年10月2週号参照)(茨城県産)の飼料米(オルター基準 ◇) ・規格外米(オルター基準 ◇) (山形県産) ●米ぬか 米沢郷牧場のグループ組織 ファーマーズクラブ赤とんぼ(山形県産) ●おから 生協(パルシステム連合会)の豆腐メーカー、共生食品の乾燥おから。大豆は契約栽培の国産大豆(山梨県産) ●大豆かす 大豆「おおすず」は上北農産加工農業協同組合(青森県産)契約栽培。 山形県天童市の三和油脂(株)で絞った大豆かす(脱脂大豆) ●魚粉 ・(株)稲井塩釜工場「60%イナホフィッシュミール」(宮城県産 塩釜、仙台、気仙沼) ・枡川鮭漁業生産組合(秋田県遊佐町)の鮭パワー サケ放流事業で帰ってきた鮭からイクラ、白子を取った残りの魚体と 米沢郷牧場のグループ組織の(有)ファーマーズクラブ赤とんぼの米ぬかを混合し、加熱、発酵、乾燥させて作っています。 ●醤油かす 鎌田醤油の醤油搾りかす 国産大豆(宮城県産) 小麦(JAみどり)(宮城県産) 塩(讃岐製塩) (香川県産) ●食塩 JT 並塩 ●天ぷら廃油 ・生協(生活クラブ)の加工メーカー、野川食品(山形県南陽市)が揚げ油に使用した国産こめ油(三和油脂)(山形県天童市) ・生協(あいコープみやぎ)の加工メーカー、青木商店(宮城県柴田町)の揚げ油に使用した国産こめ油(築野食品、和歌山県) ●第2リン酸カルシウム 小野田化学工業(株)(中国産) ●炭酸カルシウム 日東粉化工業(株)福島工場(福島県産) ●メチオニン コーキン化学(ベルギー産) ●リジン あすか製薬(タイ産) ●こめ鶏ミックス ナショナル商事(株)八浦工場 成分 ビタミンA、D3、E、K3、B1、B2、B6、B12、D-パントテン酸カルシウム、ニコチン酸 アミド、葉酸、D-ビオチン、炭酸マンガン、炭酸亜鉛、硫酸銅、硫酸コバルト、ヨウ素酸カルシウム、フィターゼ、米ぬか油かす ●酒かす 香坂酒造(山形県米沢市) 国産米 ●ゼオライト ジークライト(株) イタヤ・ゼオライト(山形県産)
BMW菌体、BMW吸着粒(ゼオライト)を与えています。BMW菌体は、米糠を生物活性水・植物性乳酸菌を使い発酵して作っています。 飲用水はBMW技術で活性化しています。鶏舎全体が無臭化しています。
■飼い方 開放型鶏舎で平飼いしています。坪当たり平均41羽(37〜45羽)と薄飼いをしています。十分な風、光、運動があります。 出荷日齢は52〜62日で、ゆっくりと時間をかけて育てています。 病気やストレスの予防などに、抗生物質、抗菌剤などの薬剤は一切使用していません。ワクチンも必要最低限に抑えています。 鶏糞、牛糞ともに良質の堆肥にして畜舎の敷料や田畑、果樹園へ還元されています。
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一般的なブロイラー(食肉専用鶏)の場合、生産優先で、床面が見えないくらい過密な状態で鶏を飼い、エサの効率をよくするために身動きしないよう、日光の当らない無窓鶏舎(ウィンドレス鶏舎)で飼います。ストレスなどから病気になるので、抗生物質や抗菌剤など動物医薬品を多用します。そのため、鶏肉から抗生物質耐性菌が検出されるようになっています。鳥インフルエンザで鶏が大量死している養鶏場は、そのような飼い方をしているところです。 エサの中心はトウモロコシですが、これはポストハーベスト農薬、遺伝子組み換えが問題となります。この他、様々な飼料添加物が使用され、さらには狂牛病の心配のある肉骨粉の配合も行われています。 鶏卵と共通の問題があります。「食べもの百科」P.79をご参照ください。
―文責 西川榮郎(NPO法人 安全な食べものネットワーク オルター代表)―
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