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いのちを守る食べものを求めて
オルター通信1114号 記事
男女共同参画センター自主活動助成事業 見つめなおそう!食とエネルギー第1回
原発の危険性を考える 宝塚の会ニュース No.176 2009年10月29日より転載

西川栄郎 NPO安全な食べものネットワーク オルター代表講演要旨

 昨今、世の中全体がぎすぎすしてきて事件が起こる確率も多く、ことに食をめぐるものが増えてきた。「これは毒である」と書いてあれば、それを口に入れる人は少ないであろうが、ほとんどは普通に食品売り場に並んでいて、時にそれを食べた人のいのちを奪う。今、食の現場はどうなっているのか。人々の健康を脅かす食べものが横行してよいものか。長年にわたり食の「本当」を追求してこられた「安全な食べものネットワーク オルター」の西川さんご夫妻に来ていただいた。悲惨な事件が続いたので覚悟はしていたがのっけから恐ろしい話が…!

 食品偽装の中でも最もひどかった中国産餃子。それに含まれていた農薬メタミドホスは食べれば胃の洗浄をしなければならないレベルの量が混合されていた。餃子の具というのは混ぜ物であるから、当然混ぜ切らなければ成分の濃い部分ができてしまう。運悪くそれを食べた人が命を失うことになる。命をかけてまで食べなければいけないものだろうか、加工品の餃子を。餃子に限らず水産加工品などにも当然のように農薬が含まれ、それはもう食品添加物の感覚で使われているというのが現状である。農薬未開の地であると言わざるをえない。
 それでは、この餃子事件以降、中国産の食べものの輸入は減っただろうか?否、むしろ増えている。景気後退などで職を失い、安価な中国産に手がのびるせいであろう。
 農薬は何も中国産だけに限らない。海外から入ってくる食べものにはあらゆる形で農薬が浴びせかけられる。収穫後に浴びせる農薬(ポストハーベスト)は直接私たちの体に影響をもたらす。それは生涯に2度癌になるレベルであるという。

 生体濃縮という言葉があるが、残念ながら私たちは子孫を作る過程で自分の体を使って実験を行っているようなものである。アトピーやアレルギーの8割は農薬が原因と考えられる。こういった毒は脂肪組織に溜まっていき、生体濃縮されやすいのである。当然、親のからだにたまったものを子どもはもらって生まれてくるわけだから疾患を持っていても不思議ではない。
 ただ、食物アレルギーは早すぎる離乳に問題があるので、他のアレルギーとは区別しなければならない。母乳に含まれる免疫を最低1年間は与え続けないといけないのである。逆に母乳以外のものは与えてはいけない。

 チェルノブイリ原発事故が起こり、日本でも農産物や乳製品に多大な放射能汚染が見られた。輸入品の放射能濃度を測ってはいたが、「トナカイ肉なんて食べない」と人々が無視していたものは、ソーセージなどの原材料に混ぜられて大量に流通していた。いったい私たちはそんなことも知らないでどれほどの放射能を摂取してきたことだろう。むろん、日本には多くの原発がありそれが事故を起こした日にはすべてを失うことになるのだが…。下北半島に建設されている再処理工場などは、1日に原発1年分の放射能を排出するといわれており、海洋国日本に住みながら海産物が口にできなくなる事態を招かないとも限らない。
 また、放射線を照射して芽止めをする「照射じゃがいも」は、1974年に北海道士幌町に照射施設が作られてから、大手のポテトチップス製造メーカーが利用を続けているとも言われている。現在はじゃがいも以外に照射食品は解禁されていないが、香辛料(玉ねぎや人参も含む)への照射を解禁するように求める動きがあり、うかうかしてはいられない状況である。

 日本ではまだまだ売られているが、各国で販売禁止が始まっているトランス脂肪酸。これは天然の油には含まれていない。要はマーガリンやショートニングである。これは心臓病を引き起こすといわれており、さすがに国内でもマーガリンはからだに良くないと言うスーパーなども出てきた。食品添加物においては野放しに近い状態だが、中でもベーキングパウダーなどは化学薬品がたっぷり含まれた、それ自体が問題の多い添加物なので摂取は避けたい。

 かの中国ではメラミン入り牛乳が問題になり、富裕層はこぞって日本の牛乳をほしがるようになった。牛乳の量を増やすために水を加えた結果、蛋白質が減ったのでメラミンを混ぜた…。言語道断だが、はたして日本の牛乳も安全とは言い難い。餌はほとんどが輸入飼料で、遺伝子組み換えのトウモロコシなどが使われている。また、せっかく良い餌を与えて良い育て方をしていても超高温(120℃2秒など)で滅菌してしまえば、それはもう牛乳とは言わない。
正しい牛乳は良い餌、良い環境、良い殺菌温度で作られたノンホモジナイズ(脂肪球を壊していない)低温殺菌(65℃30分もしくは75℃15秒)のものである。

 今、海外でもてはやされているのは日本の伝統食である。米や野菜を食べ、正しく作られた発酵食品を摂ること。コクゾウムシすらよけて通る輸入小麦を使ったものを食べずに、国産小麦で作られたものを食べる。砂糖の摂りすぎはホルモンバランスを崩し、人格的にも悪影響を及ぼすので注意すること。玄米が良いからと育っても正しい炊き方、食べ方をしなければかえってからだには良くないので気をつけたほうがよい。

 会場からは「○○は大丈夫か」という質問も出たが、一つ一つを取り上げるにはあと40時間は講演していただけなければならないだろうというほど内容の濃い講座であった。

 (イノウエヤスコ)

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