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手作り炭火発酵の納豆 金沢農業(4)
カタログ“2003年6月1週”
昔のままの手作り炭火発酵を今も続けている小山商店の納豆
 カタログ2003年5月3週の井村さんの有機大豆を使った納豆を作っている、小山商店2代目小山幸男さんは、昔のままの炭火発酵で納豆を作り続けています。製造工程のほとんどは伝統的な手作りで、様々な顧客のニーズに実によく合わせた、少量多品目生産を行っています。おいしいと評判で、遠くからわざわざ買いに来るお客さんもいますし、テレビの「どっちの料理ショー」でも、数年前に紹介されたことがあります。
 昔はどこでも、このような炭火発酵が当たり前だったのですが、今では極めて珍しいスタイルになり、通常は電気を使った発酵室が一般化しています。最近テレビなどで炭火発酵が話題になると、その発酵室を併用しながら、格好だけ申し訳程度に炭火を使って、炭火発酵を謳うようなところも出てきています。
 小山商店のような、小規模な納豆業はすでに、そのほとんどが廃業に追い込まれてしまっています。スーパーの登場とともに、大量生産の1円でも安いことを競った納豆が巷に溢れたからです。そのような大量生産システムでは、安全性はもとより、おいしさまでもが忘れ去られ、ひたすら機械の処理に合うような、ラインでつぶれてしまわないように堅めに煮た大豆、プラスチック容器への充填、速醸の発酵を行うものとなっています。もちろん、ポストハーベスト農薬の心配な安い輸入大豆を使って。
 小山商店のような、よく言えば伝統を大切に守ってきた、悪く言えば大量生産時代に取り残された、納豆製造業が生き残ったのは、たべ研の木村章二さん、千恵子さんご夫妻との出会いが最大のきっかけでした。木村さんらは、仲間の農家が無農薬大豆を大量に生産されたとき、何とか納豆、豆腐に加工できないかと、作ってくれる生産者を探していて、小山商店に出会われたのです。当時は小山商店先代のお父さんの林吉さんのときで、たべ研の納豆の委託加工を引き受け、同時に豆腐作りも始めることになったのです。当時は、スーパーに顧客を奪われ、廃業が避けられなかった情勢にありましたが、このたべ研との出会いのおかげで、井村さんの有機大豆を持ち込むきっかけとなった「生活舎」など消費者団体との関係が広がり、うまく生き残れるよう顧客がスライドしていけたのでした。たべ研の木村章二さんは、私(代表)とはロングライフミルク反対運動で出会った仲間で、まともな食べ物を育て、その生産者を守り続けていらっしゃいます。


小山幸男さん(左)、木村章二(右)、千恵子(中央)ご夫妻
経木入り炭火造り極小粒納豆
金沢大地の納豆(1)
 小山商店の炭火発酵納豆
 原料 大豆……井村辰二郎さんの有機大豆。地塚大豆(品種名:納豆小粒)
    地塚大豆は、関東地方で栽培されてきた大豆で、小粒納豆の品種として水戸の納豆メーカーが使う在来品種です。井村さんは3年間栽培方法を試行錯誤して、やっと生産の目途をつけられました。今年は他の小粒納豆用品種「すずまる」の栽培にも取組んでいます。虫食いなどによる大豆の着色粒は選別機で選別しています。
    納豆菌…宮城野納豆研究所の種菌。
    水………井戸水(地下15m)、湧水の豊かな武蔵野台地。
 製造工程
  @大豆を水に浸ける。
  A蒸気の蒸し機で、大豆を蒸す。
  蒸し機の中は4段に仕切られていて、蒸した後の大豆が潰れないよう工夫されています。中まで大豆が蒸し上がっているので、おいしくなるのです。
  大豆を蒸すときに使う布の洗浄剤は、豆腐を作るときに生じるす水を使い、合成洗剤を使っていません。
  B蒸した大豆に、種菌(納豆菌)を噴霧器で噴霧する。
  C納豆菌を植菌した煮大豆を経木の上に一定量秤量 して置き、包装する。
  これらは全て丁寧な手作業で行われています。経木は群馬県産の赤松材を使用。
  D地下室になっている室(約42℃)で、約20時間炭火 発酵させる。
  地下室にしているのは、保温性を高めるため。炭火発酵は、昔ながらの燃料であるという理由以外に、発生する二酸化炭素(CO2)の働きで、納豆のアンモニア臭を発生させないという意味があるそうです。炭火を使って死菌を発生させず、しっかり発酵させるので、おいしい納豆ができます。
  炭を使うので、火力の保持に大変気を使っています。現在は室内の温度が分かるよう、外部に温度計を置き、午前中に室に入れてから、夜中の12時まで絶えず温度管理に気を配り、12時以降は余熱で発酵を仕上げています。
  E低温冷蔵に置き、納豆菌の繁殖を止める。
  一昼夜熟成させる。白い糸が表面に浮いてきたら、それが食べ頃の印です。
蒸し機、植菌
秤量
・・・
炭火発酵室
一般市販納豆の問題点
 大豆が輸入大豆で、ポストハーベスト農薬の問題がある。輸入大豆は品種が油を多く含む油種系で、納豆にした場合、国産の蛋白質を多く含む大豆より、味や風味が劣る。
 大量生産される納豆は、柔らかくおいしく煮た場合、自重や落下衝撃で潰れてしまうので、それを避けるため堅めに煮ており、おいしい納豆になりません。
 ポリスチレン系のプラスチック容器入りの納豆は、容器の環境ホルモン溶出の恐れの他、アンモニア臭が発生しやすい。発酵時間が8〜12時間と短くなった場合のも死菌が発生しやすく、アンモニア臭が発生し、舌にピリッときたり、異臭がするものになる。


(文責:西川栄郎)

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