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草堆肥を活用した野菜づくり
カタログ2012年5月3週号
畑で味見しながらおいしい野菜を作っています。

谷農園の小倉和久さんは、三重県上野市で農薬や化学肥料を使わないで(有機JAS適合資材は使っています)野菜を育てています。小倉さんが耕している畑はどの畑も土がフカフカで柔らかく、そこで育つどの野菜も甘く、おいしい野菜です。亜硝酸態窒素の心配のない若草色。
 実によい野菜が育っています。このようなおいしい野菜を育てられるようになったのには、小倉さんの優れた自然観察力と、それに基づいた工夫があります。
 畑は、露地500a、雨除けハウス65a、育苗ハウス10aの合計575aで、ほとんどが借地です。そこで、旬の野菜を露地中心で育てています。ハウス栽培もしているのは、年中野菜が途切れることがないように配慮しているからです。ハウスにも、ところによって白い寒冷紗をかけて、1〜2℃の温度差を生じさせるように工夫して、収穫時期をずらすようにしています。畑作農家としては、かなり広い農地を家族3人とハンディのある人1人、パート4人で耕しているのです。



 畑を耕し始めるとき、まず桁外れにたくさん堆肥を入れます。それから、3年ほど放置します。草ができるようになるまで畑を休ませて、使うのです。その草をロータリーで鋤き込みます。土がよくなって草ができるようになったら、野菜を作り始めます。まず草がよくできる土にすることが大切です。
 肥料は秋にやり、野菜は残った肥料で春から作ります。窒素過多で障害が出るほどたくさん堆肥を入れているのに、窒素過多とならず、むしろ窒素肥料不足となっているのは、草のような粗大繊維質をたくさん入れているため、その繊維が分解されるときに多量の窒素が消費されているからと思われます。だからこそ、よく肥えている土なのに、窒素不足気味で亜硝酸塩の心配のない、よい野菜が収穫できているのです。肥料が消えている頃に、それを補う程度に肥料を使うという施肥管理を行っています。
  小倉さんはなぜこのような工夫に到達されたかといえば、野菜の味をみながら、畑を歩いているからなのです。おいしい野菜を作ったときの方法を覚えておいて、改良を続けられたのです。小倉さんは「荒れた畑の方がおいしい」ということに気づいておられます。昔「養生訓」を書いた貝原益軒の「畑より野にできるものが優れている」という境地に他なりません。
 2年前からご自身で、リアルタイムの土壌分析(ドクターソイル)でミネラルなどを測定し、より安定的な野菜作りにチャレンジしています。



 谷農園ではたくさんの野菜を作りますが、出荷はよいところだけを採ります。出荷できないような形の悪いものは、そのまま畑へ鋤き込んだり、畑の一角にある放し飼いの鶏舎のにわとりに緑餌として与え、産まれたたまごはオルターへ出荷。鶏糞は堆肥にして畑で使います。
 小倉さんの野菜作りは一見粗放で手抜きのように見えます。しかし、実際は広い畑を有効利用していて、決して無理をせず、しっかりと危険分散を考えた、緻密な工夫があります。こうして、収量や見かけにとらわれない、生産と流通のつながりの、一つのお手本のような農家がここにあるのです。
 自然の中で育つ野菜は、色が淡かったり、形が不揃いであったり、虫が食べていたり、といろいろです。そんな野菜がクレームとなったりするのです。とくに端境期には品数が減ったり、近年の異常気象で見かけが悪くなり、苦労が絶えません。そんなことに理解のある人達へ出荷していきたいと考えられています。


 小倉さんは京都府立農業者大学校を出て25年目、農薬を完全に止めたのは17年前の28歳のときです。農家の次男として生まれ、子どもの頃から畑や山の中で走り回っていました。そのため、農業に就くのは当り前と思っていました。初めは、ブロッコリーの種を採取する農家でした。しかし、農薬を使っていて下痢や湿疹に悩まされました。そんなとき、愛農大学講座で小谷先生と会い、農薬を減らそうと思ったのでした。 
 オルターへの紹介は、当時天地農場主であり、現在オルターが設立した農事組合 地産地消大阪農業者ネットワークの名誉会長である久門太郎兵衛さんです。当初は農薬をかけなかったら野菜が育たないのではないかと心配していたときもありました。有機農業を志すことを人に話したり、集荷場に「自然農法」と書いた看板を掲げたりして、ややもすると農薬をかけたくなり、くじけそうになる気持ちを抑えてこられたのでした。
 今では45歳の若さながら、技術も高く、農業で食べていける立派な有機農家となられています。仲間づくりを考え、積極的に研修生も受け入れておられます。その研修生が育って生活できるようになるためには、流通が育ち、多くの消費者と手を携えなければなりません。
 お子さんが身体障がい者になり、今の社会の中では、弱い人や何も言えない人が社会の端にいることを知りました。弱いものが、社会の真ん中で生きられる世の中にしていきたいと考えられています。今まで野菜の計量や種蒔きを障がいのある人に一部委託してきましたが、5年前にMOA自然農法大学校から発達障害のある人を紹介され、採用しています。
谷農園の無農薬野菜 オルター基準
●作物
こまつな、ほうれんそう、きくな(シュンギク)、ねぎ、にんじん、ニラ、大根、ごぼう、かぶら(蕪)、
みぶな(壬生菜)、みずな(水菜)、べんりな、キュウリ、ピーマン、ナス、トマト、里芋、
ひのな(日野菜)[加工用]など旬の野菜全般です。
●防除
基本的に畑の野菜が虫にとって土手の土よりまずくすること、すなわち若草色にすると、畑には虫が入らない。
それでも例えば、ねぎに赤いダニが増えてきた場合には、海藻エキス(のり)で窒息させています。
ピーコ(海藻ミネラル、アブラムシ防除)
●除草
手除草や、自分で開発したガスバーナーで草の新芽を焼き、何とか野菜が勝つようにします。

●肥料
草が中心です。JAS適合資材を選択。
圧搾菜種かすのぼかし肥料(自家製造)原料:地元菜種プロジェクトなどの
菜種かす、もみ殻、米ぬか
自家製平飼い鶏舎の鶏糞ぼかし(発酵して堆肥化)
魚ソリュブル(川合肥料)原料:カツオ魚あら(3.11原発事故前の品物)
今後の使用は検討中
アイアンパワー(ジャパンバイオファーム・微量要素鉄)中国産
マンガンパワー(ジャパンバイオファーム・微量要素マンガン)中国産
ケルプペレット(ジャパンバイオファーム・微量要素ホウ素)北欧産海藻原料
クワトロミネラル(ジャパンバイオファーム・4種微量要素)中国産
マグマリーン(あすなろ舎・マグネシウム)中国産
市販の野菜の問題点
拙著「あなたのいのちを守る安全な食べもの百科」P49参照。
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