カタログ“2006年3月5週”共働事業所ごらく菓子舗 |
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障害のある人もない人も 共に働く場として始まったおかき作り。 素人集団だったからこそ、 まともな原料・ていねいな手作りで、 プロ以上の本格的な 手の温もりのあるおかきを焼いています。
●「互いに助け合い、楽しく」の思いを込めて 大阪市平野区にある共働事業所ごらく菓子舗は、障害のある人もない人も助け合い共に働く場として、1995年に現代表の鎌田三枝子さんと高橋令子さんとで設立されました。ごらくは「互楽」。「互」は相互扶助、「楽」は楽しく、の思いを込めて名付けられています。 おかきの製造に取り組まれたのは、クッキーとかパンなどは他の福祉作業所でも作っているからでした。市販のおかきの製造は現在ではそのほとんどが大規模化しています。それに対してごらく菓子舗では、手作りの技術を学んだり、小規模な機械類を一から揃え、今日のようなていねいな手作りのおかきの製造場を作られました。 様々な行程の中で、メンバーそれぞれが個性と能力に応じた仕事に励んでいます。ごらく菓子舗の中心メンバーは6人。ほかに3人が協力しています。みんなニコニコ働いているのが印象的です。 |
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代表の鎌田さん(前列右端)とスタッフのみなさん。 |
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生産者見学会での様子。お世話になりました。 |
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●手間ひまかけた“ほんまもん”のおかき おかきの原料は、滋賀県能登川町の木下清春さんの特別栽培(オルター農作物基準◇)のもち米など、もちろんこだわっています。オルターでの取り組みが始まったとき、三河みりんに切り替えてほしいとお願いしたらすぐに切り替えていただけたほど、おいしいおかきを作るための素材にこだわるということをよく理解していただいています。 製造工程は基本的に昔ながらのやり方で、すべて手作業の連続。たいへん手間をかけています。こんなに丁寧なおかき作りは、一般にはもうほとんど残っていない貴重なものです。何も知らなかった素人集団からの出発だったからこそ、忠実な食べもの作りに取り組めたのだと思います。今ではプロ以上にプロだと認められる、本格的な、手の温もりのあるすばらしい出来栄えです。 しかし残念なことに、こんなに一所懸命に作っていただいているおかきなのに、まだまだ製造能力の1/5くらいしか作れていないのが現状です。なぜなら買ってくれる人が十分に見つかっていないからです。もっと多くの人に理解してもらえたらよいのにと思います。
●おいしさとともに温かなつながりを 「ごらく」では人と人、人と自然の関わりを「食」を通じた営みから捉え直し、おいしさとともに温かなつながりを創り出したいと願っておられます。オルターへの紹介は、私の徳島時代の仲間で「ごらく菓子舗」を手伝っていた福井幹夫さんからです。 障害者への介助人派遣処「NPOごらく会」、印刷業務の「ホープ共働舎」、「団子と日本茶ごらく」も仲間の活動です。「団子と日本茶ごらく」は大阪市平野区の平野東商店街の中にあります。団子、ぜんざい、かき氷、日本茶、紅茶、コーヒーなどこだわりの素材で好評のお店です。ぜひお立ち寄り下さい。 |
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●おいしい3つのわけ @良質な調味料 A国内産もち米 B8日間かける丁寧な製造
●原料 もち米…木下清春さん(滋賀県能登川町)の特 別栽培水稲もち米。品種は「羽二重」。除 草剤1回。肥料はもち殻、稲わら、米ぬか、 骨粉、鶏糞、牛糞堆肥。 醤油…ヤマヒサの国産丸大豆醤油 合わせだし…マエカワテイスト (かつおぶし、昆布、しいたけ、天日塩) 三河みりん…角谷文治郎商店 (カタログ1998年12月1週参照) 純米酒…森喜酒造場の純米酒「妙の華」 (使用米:三重県産伊賀こしひかり、右近錦) 種子島甘蔗分蜜糖 (カタログ2000年4月1週参照) 菜種油…平田産業のオーストラリア産菜種 (NON-GMO)圧搾一番搾り 塩…シママース 黒ごま…向井珍味堂 無着色桜えび…駿河湾産 唐辛子…向井珍味堂 青海苔…岡山産 ピスタチオ…カリフォルニア産有機栽培 (CCOF有機認証) 薄口醤油…ナカコ醤油 (国産大豆、国産小麦原料) ざらめ砂糖…新光製糖 |
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●製造工程 @もち米を粒のまま蒸し、杵でつき、さらに 水分を均質にするための練り工程を経て、 餅生地を作る。 A3日間冷やし固めた餅を切り、1回2時間の 乾燥。そして一晩生地を寝かせて水分を徐 々に除きながら、約3日でおかきの生地を 仕上げます。この生地の出来上がりの大き さやふくらみ、季節によって微妙に変化し ます。湿度や気温によって乾燥のやり方を 工夫しないとおいしいおかきにはなりませ ん。 B生地の一枚一枚を焼いて、味付けをする。 |
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本来おかき(あられ)は、もち米を原料としていたはずなのですが、残念ながら今ではもち米からおかきを作ることがすっかり珍しくなりました。国内のおかき生産は新潟県に大手メーカーがありますが、新潟港へ輸入されるタイや中国などの外国からの安いもち米粉がそのほとんどの原料です。栽培時の農薬やポストハーベスト農薬が心配です。もち米粉を使ったものは柔らかく仕上がっています。柔らかいおかきは要注意です。 もち米の代わりに、ごはんとして食べられるうるち米が原料に使われることも珍しくはありません。CMC(カルボキシメチルセルロース)という薬品を使えば、餅のように粘り気のある状態に仕立てることができるからです。ポストハーベスト農薬の心配な安い外米が使われます。かつて富山県でカドミウム汚染米の問題が起きたとき、その汚染米がおかきや味噌の業者に流れたとのウワサがありました。 油で揚げているあられなどには、コーンスターチ(ポストハーベスト農薬、遺伝子組み換え)が使われています。粘り気を与えるコーンスターチを使えば仕上がりがよいので使われます。コーンスターチは安いので、増量剤としての役割もあります。 以上のようないわばニセモノ原料を使わずに、もち米を使えばよいのかというと、必ずしもそう単純ではありません。もち米の栽培時における農薬の使用状況、あるいは輸入もち米だとポストハーベスト農薬、クズもち米や農協倉庫で何回か臭素剤で燻蒸された古々もち米など。 また、つき方にも問題があります。木の臼と杵でつく餅がおいしいのですが、最近は家庭用の餅つき機のように練るタイプの機械で作られる餅が主流です。取り粉も問題となります。例えばじゃがいもでんぷんであれば農薬使用や遺伝子組み換えが心配です。 味付けに使われる醤油、みりん、バター、塩、砂糖や揚げ油などの副原料も、オルターのような安全素材が使われることはありません。ポストハーベスト農薬や遺伝子組み換えの心配な輸入原料、グルタミン酸ソーダや着色料などの食品添加物、トランス脂肪酸の心配のあるショートニングや植物油などが使われています。詳細はわかりませんが、ツヤ出しやすべり止めの薬品の使用も一般的です。 焼き方も品質の差が出ます。高周波を使ったもので、でんぷんの粒子を壊してしまうのではおいしくありません。のした餅は粘りがあっておいしいのですが、大手メーカーはのしをせず型抜きをしています。 かくして、安く見せていますが食べるとまずくがっかりする市販品が出来上がっているのです。
ー文責 西川栄郎ー
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