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海を守って30年瀬戸内冷蔵の大西健吾さん
カタログ“2000年1月5週”
  香川県引田町の安戸池は日本のハマチ養殖の発祥の地。この引田町から、瀬戸内冷蔵のある徳島県北灘町にかけては、かつてはハマチ養殖がとても盛んでした。大西健吾さんも漁師としてハマチ養殖をされていました。ところが昭和47年に赤潮が大発生し、その後毎年のように発生する赤潮のため、ハマチ養殖がすっかり衰退してしまったのです。北灘の漁師さん達は播磨重工業地帯などの工業排水が原因ではないかと、当時としては画期的な赤潮訴訟を提訴され、大西さんもその訴訟団の団員として活躍されました。その結果、瀬戸内海総合汚染調査団の調査も行われ、瀬戸内海を守る世論が大きく高揚し、海洋汚染防止の先駈けとなったのです。そして漁師さん自らも養殖や合成洗剤などで海を汚してはいけないことに目覚め始めたのです。大西さんは養殖業から、エサ用のイワシなどを扱う冷凍会社を始められていました。
そして、天日干しのちりめん作りも始められていました。私達との出会いは、20数年前のそんな頃でした。海を守るために立ち上がった大西さんは、私達の安全な食べ物を求める活動にすぐ理解を示してくださいました。そして、今日のような一切の薬品を使わないちりめんじゃこ、いりこの生産を始めていただけることになったのです。少なくとも、香川県〜徳島県の沿岸のちりめんじゃこのメーカーでこのような薬品を使わないところは残念ながら今だに他に一軒もないのです。

 
大西健吾さん(左から二人目前)
◎瀬戸内冷蔵の無添加ちりめん、いりこ
<原料のいわし>  
ちりめんにするイワシはカタクチイワシの子です。マイワシの子が混じることがあります。イワシを獲る海域は東讃(香川県東部)〜鳴門〜阿南を漁場としています。イワシは浜から500m〜1kmの辺りに一番多くいますが、沖合4〜5kmの場合もあります。浜が砂浜の場合は魚体がおおむね白く、砂礫のところはやや黒っぽく、味には深みがあります。雑魚ですのでどうしても内水面で生活していますが、幸い食物連鎖の一番前の方ですので、汚染が一番少ない安全な魚と考えられます。岸壁に陸揚げされてから、1時間以内で瀬戸内冷蔵の加工場に到着します。この原魚の鮮度がよいほど作業の手間がかかりません。

<作り方> 
 浜に陸揚げされたら、すぐ加工場に運ばれ、到着しだいすぐ、セイロに入れて2m3の釜で3〜5分煮沸します。2m3中、赤穂の天塩が40kg程度の海水よりやや甘い程度の塩水を使用します。塩水濃度は魚、天候、季節によって多少加減します。ゆで上がったちりめんは、晴天の場合、直に干場で乾かします。約30分ごとにセイロを反して、約1時間で手を入れます。ここで柔らかくもみほぐすのですが、これは熟練を要する仕事です。天候によりますが早ければ5〜6時間で仕上がります。雨天の場合は、ゆで上がったあと、すぐ冷して、冷蔵庫に入れておき、晴天になってから干しています。近年では人手不足と高齢化のため、機械化が進んでいます。天日干しではなく乾燥材で乾かしているものが増えています。しかし、これは色落ち、味落ちの原因となります。瀬戸内冷蔵では頑固に昔ながらの天日干しを続けています。大西さんのちりめんがおいしいのは、原料が主として鳴門の美味しいイワシであること。かつ新鮮なイワシが原料であること。製造中に赤穂の天塩しか使用せず、当然一切の薬品を使用していないこと。そして昔ながらの天日干しであることが理由なのです。

<保存> 
ちりめんは鮮度がとっても大切です。大西さんの所では通常製造より1週間以内の出荷としています。家庭に届いた後も出来るだけ早めにお召し上がり下さい。たくさん購入してしまったときは冷凍保存も可です。なお、ちりめんの漁がほとんどなくなる1〜3月(最近では海がへんで、4月頃でも獲れないときがある)ではやむをえず、氷温貯蔵してもらっています。したがって、その季節のもので、ときに多少変色しているときがありますが、危険な薬品を使うよりはましということで我慢しなければなりません。

<価格>  
カタログ価格は一応目安としてつけています。しかし、ときには、イワシの浜値が高くなってしまうことがあります。しかし、それでも購入しないと共同購入に間に合いませんので、高くても購入していただいています。そのため、最悪は量目で価格調整をやむなくさせていただくこともありますので、御了承下さい。

市販のちりめんの問題点
 いわしのとれる海域や機械乾燥によってはよいちりめんにはなりません。また、もともとちりめんは、遠州灘の白砂のところで保護色として真白いイワシから作られる大白ちりめんが市場で高値で取引きされていたのです。この白いちりめんに近づけるため、他産地では漂白が一般的に行なわれてきたのです。漂白しているものは目玉のところも白くなっているのですぐわかります。さらに釜上げちりめんの場合は必ずといってよいほど酸化防止剤の使用が避けられません。いりこ作りなどでは首が落ちないように酸化防止剤を使ったり、新鮮さを装うため青白くみせるような着色料も使われてきました。売れ残って、古くなって酸化してどうしようもなくなったものは捨てずに佃煮屋さんに売られていくのです。佃煮にすればわかりにくくなるためです。かつては日本各地にちりめん作りがたくさんありました。しかし、今日ではその数がすっかり減ってしまったのです。なぜならインドネシアなど海外から、もっと安いものが大量に輸入されるようになったからです。輸入の黒っぽいちりめんは、水にもどして、真白に漂白しなおされ、作り直されているのです。市販のちりめんがパサパサ、すかすかでたいへんまずいのは「水にもどしたり」しているからで、ときには薬品臭まで感じるものも多く流通しているのです。こんな小魚ではいくら小魚といっても、子どもの体によいわけはないのです。


   ―文責 西川栄郎―


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