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京の和菓子伝統の一品 黒みつ
カタログ“2007年7月3週”
京の和菓子伝統の一品 黒みつ
沖縄産の香り高い黒砂糖が原料です。
ところてん、葛きりをはじめ、お料理にも向きます。

●沖縄産黒砂糖にこだわって

 環境をテーマに市民活動を行なってきた「沖縄リサイクル運動市民の会」(1983年設立・古我知浩代表)では、沖縄産の黒砂糖を原料にした黒みつを、京都の老舗酢屋・林孝太郎造酢に委託加工しています。
 林孝太郎造酢が作る黒みつの主原料は、香り高くアクの少ない良質な波照間島と小浜島の黒砂糖です。黒糖だけでは味が強すぎるため種子島の甘蔗分蜜糖で味を調整し、京都の名水、西陣の湧水で作っています。市販では製糖工場の廃液(廃糖蜜)や還元水飴、白砂糖、カラメル着色などのニセモノの黒みつがありますが、そのような粗悪な原料を使わず、無添加でこだわりの黒みつです。


●黒みつは京菓子の伝統の一品
 京都は昔から和菓子の老舗の多い町です。北前船が運んでくる黒砂糖も盛んに使われてきました。祇園には黒みつを使った葛きりの有名な店もあります。
 林孝太郎造酢は江戸天保年間(1830年代)創業のお酢屋です。酢はもちろん京料理の調味料ですが、西陣の染め物の色どめや、橋の欄干の金属の漆塗り下地など工業用にも使われ、京文化になくてはならないものとして、伏見の酒から酢を造ることが盛んでした。しかし時代とともに酢の工業用途はなくなり、京料理の三杯酢も化学調味料を使ったニセモノが出回るようになりました。
 林孝太郎造酢六代目林孝治社長は、そのようなまずくて不健康なニセモノに義憤を感じ、化学調味料を使わないこだわりの三杯酢を、酢屋の生き残りをかけて製造してきました。その三杯酢がところてんや葛きりに使われる縁で、スーパーから「おいしい黒みつを作ってくれないか」と声をかけられたのが、黒みつ作りのきっかけでした。

●お酢屋が本気で作った、甘い品

 当時は廃糖蜜を使ったまずい黒みつの全盛期でした。「おいしい黒みつにはまともな黒砂糖を使わなくては」と考えた林社長は、老舗の和菓子屋の味を参考に研究を重ねました。一番の苦労は今も続いているのですが、良質な黒砂糖の入手でした。沖縄産は製糖メーカーが牛耳っているため取り引きが不安定で、生産者の高齢化や沖縄の観光ブームもあって常時品薄です。最近ではバイオ燃料ブームの影響も出ています。ブラジル産、チリ産、グァテマラ産、中国産などの粗糖では良い味が出せないのです。
 そんな林さんに、黒砂糖の情報に明るい沖縄リサイクル運動市民の会を紹介したのは、林孝太郎造酢の三杯酢を取り扱っていたある消費者団体でした。現在、林孝太郎造酢では、沖縄リサイクル運動市民の会と協力し、沖縄産の黒砂糖を使って、老舗の和菓子屋の黒みつに負けないこだわりの黒みつを製造しています。この「京の黒みつ」の評判は口コミで広がり、今では三杯酢や寿司酢と肩を並べる林孝太郎造酢の人気品となりました。
 やがて七代目になられる林孝樹さんも大手食品メーカーでの修行を終え、家業を支えています。京料理の伝統の一品、黒みつをお楽しみください。
 オルターと沖縄リサイクル運動市民の会との出会いは、私が主催した市民運動のサミット「ばななぼうと」がきっかけでした。


沖縄リサイクル運動市民の会の黒みつ
●原材料
 沖縄産黒砂糖…波照間島産、小浜島産
 種子島甘蔗分蜜糖…カタログ2000年4月1週号参照
 水…西陣の湧水(井戸水)。お茶の宗家・千家も使ってきた水です。
●製造方法
 製造元は(有)林孝太郎造酢。黒砂糖の品質は年々によって変化し、新物かひね物かでも味が 変化します。
 @原料の混合A加熱(95℃)B冷却熟成Cろ過D加熱(95℃)芽胞菌を除去する目的ですE充填
●使い方
 ◎葛きり、ところてん、みつ豆、かき氷の蜜に
 ◎トーストにつけたり、料理の甘味として。とんかつソースに少し加えると大変おいしくなります。
 ◎きな粉と合わせて、わらび餅、白玉、生麩に。
 ◎おすすめ料理:バナナを皮つきのまま焼き、焼き上がりに切れ目を入れ、黒みつとアイスクリームをかけてお召し上がりください。
●保存方法
 開封後は冷蔵庫に保存し、賞味期限にかかわらずできるだけ早くご使用ください。


市販の黒みつの問題点
 ひと昔前は廃糖蜜を使ったものが主流でした。さとうきびやビートから製糖する過程でできる廃棄物で、精製に使用される薬品を含んでいるものもあります。最近ではごまかしがきかなくなって主流ではなくなりましたが、今でも使われています。白砂糖や還元水飴をカラメルや廃糖蜜で着色しているものもあります。還元水飴は遺伝子組み換え酵素が使われている心配があります。このようなものは黒みつとは名ばかり、単なる「黒い色のついた甘いもの」で、おいしさとは程遠いものです。
 安い輸入の黒砂糖を原料にしているものもありますが、アクが強く香りもないため黒みつには不向きです。また黒砂糖自体に、白砂糖増量、カラメル着色、炊き直し(古い黒砂糖)などの問題があります。


―文責 西川栄郎(オルター代表)―


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