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島根県弥栄村は、中国山地にある村の85%が森林という自然豊かな村で、昔の山村の風情を今もそのまま残しています。一見どこにでもあるような村なのですが、ここには村おこしのお手本ともいうべきやさか共同農場があります。やさか共同農場の代表、佐藤隆さんは高校を卒業した18歳の1972年に「人間性が生かせる有機農業の里づくり」の夢をもって、仲間4人とこの弥栄村に棚田の休耕田を借りて入植し、前身の団体「弥栄之郷共同体」を旗上げしたのです。夢をもって入植したものの、いざ暮らし始めると当然のこととして、過疎の村の厳しい現実が目の前にありました。開墾作業に汗を流す日々の中で、翌年には農家の庭先野菜を大阪などへ産直販売する活動を開始なさいました。よそ者だからこそ地元の人には出来ない発想・工夫ができたのでした。赤字続きの中でも出荷農家に対してきっちりと支払いをすることで、地元農家と共同体の間で信頼が生まれていきました。豪雪地帯の厳しい冬を、出稼ぎをしないで乗り越えることも課題でした。その答えが味噌作りでした。
廃屋の杉樽との出会い
味噌との出会いは、購入した廃屋にあった杉樽の味噌。空家になって4〜5年経つのに、いい香りがしていたのです。数年後、たまたま渓流釣りで知り合った工業試験所の堀江修三氏が「弥栄は水がうまいし、冬は雪に覆われるから、きっとよい微生物が住んでいるはず」と冬場の味噌作りを勧めてくれたのでした。当時、村の多くの農家で自家消費用の味噌作りが行われていました。原料となる米も大豆も村内で作られていました。また、村の女性たちは味噌作りの経験者だったのです。村のおばあちゃんから味噌作りの手ほどきや協力を受け、共同体として味噌作りに取組み始められました。当初は、お世辞にもおいしいとは言えない味噌だったのですが、5年前からは原材料もよくなり、また、すっかり技術レベルも上がり、安定しておいしいものができるようになりました。今では寒冷地の気象条件にも恵まれ、味の面でも好評な「やさか味噌」ブランドとして、全国の共同購入団体へ出荷されるようになっています。
有機認証を受けた手作りのみそ 農村共同体の再生・復元のお手本になるか
やさか共同農場は、1989年に法人化し、25名の職員、研修生が働いています。2000年12月には、大豆、水稲、野菜の有機農作物の認証を、2001年2月には味噌と豆腐の有機農作物加工食品の認証を取得しました。共同農場として有機栽培による米、大豆、野菜、しいたけ作り、手作り味噌の加工、販売などを行うほか、村内のいくつもの生産者グループと協力して、地域をあげての有機栽培、米、大豆作り、さまざまな農産加工に取組み、今や弥栄村の地域おこしにはなくてはならない中心的存在として、行政からも厚く信頼され、活躍なさっています。ここには中山間地定住化にもつながった、まさに農村共同体の再生と復元のお手本のような活動が展開されています。そして、安全な食べものの産直や県外研修生によって、都市との交流ができており、日本一の味噌作りの村をめざすこれからの発展がますます楽しみです。
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中国山地の森林に囲まれ、標高550mに位置する山間の弥栄村は、冬、雪に埋もれる豪雪地帯です。その冬、寒さが厳しく、夏でも冷涼な気候は、味噌作りにおける微生物の働きや熟成によく適した環境です。起伏に富んだ山地の谷間には、広葉樹が育んだ清水が豊富に湧き、ワサビが自生する湧水地帯です。その水は水温も一定していて、ミネラル分も多く、味噌の仕込み水に適しています。 また微生物を絶えず供給してくれる森の中で長期に自然発酵を行うことで、上質の味が醸し出されます。森と水と土、そして少しだけの人の力、これがやさか味噌のおいしさの秘訣です。
・・・原料・・・
▽大豆・米 やさか共同農場が中心となって、弥栄村の有機農業の里作りを推めています。大豆や米は共同農場の栽培している有機認証を取得しているものだけでなく、村内の「森の里工房生産組合」などの協力農家の有機農作物を使っています。 有機栽培にあたって、病虫害防除、雑草の抑制、追肥などに米酢、焼酎、糖蜜、大豆の蒸煮汁、米のとぎ汁、味噌、麹くずの7種類の材料を発酵させた独自の葉面散布剤を工夫して使っています。有機栽培の大豆は、作物のもつ元々の生命力で育つために、収量は多くありませんが、中まで柔らかい状態で生育しています。そのため、水の吸収もよく、より柔らかく、おいしい味噌に仕上がります。 この有機大豆100%、もしくは地域内大豆100%自給の味噌作りが理想なのですが、この無農薬の大豆だけで全てのアイテムの味噌作りを行うには、まだ量が不足しているため、アイテムによってはやむをえず九州の農協からの国産大豆を使用しています。
▽塩 日本食用塩研究会(伊豆大島)の海水塩(海の精、赤ラベル)、もしくは沖縄の再製塩とみしろ製塩をアイテムによって使い分けしています。
▽種麹 創業以来三百有余年の京都の「菱六」の種麹を使っています。用途に合わせて構成された感性と技術、バランスのとれた種麹は、その安定した高品質とあいまって、「やさか味噌」作りの源の一つです。
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大豆 米 @洗浄 @洗浄 A浸漬 A浸漬 B蒸煮 B水切り C冷却 C蒸し D擂砕(らいさい) D冷却 ・・ ・・ E種切り ・・ ・・ F製麹 上記の大豆と米麹に塩を加えて、 味噌を仕込みます。 1次発酵 →切返し →熟成発酵 味噌の熟成は森の中の冷涼な保管倉庫内で、 アイテムごとに必要な熟成期間をかけます。 やさか共同農場の味噌は、原料から製造工程まで充分にすばらしいものですが、残念ながらこの熟成段階での容器には、ポリエチレンの容器が使われています。オルターとしては、この容器を木製の容器に改善していただければ、より完璧だと考えています。 大豆、米、麹、水以外、防腐剤、防沸剤、調味料、水アメなど一切有害なものを使用していません。
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有機やさか味噌 甘口 原料 有機米……森の里工房生産組合 有機大豆…同上 塩…………海の精 貯蔵熟成…9ヶ月
有機やさか味噌 中辛口 原料:同上(ただし、米麹の割合は大豆に対し0.8と少ない) 貯蔵熟成…15ヶ月 やさか吟醸味噌(有機) 原料 有機米……やさか共同農場 有機大豆…同上 塩…………海の精 貯蔵熟成…24ヶ月 やさか味噌 甘口 原料 米…………森の里工房生産組合、JA常盤村(青森) 大豆………JA白石(佐賀)、JA小城(佐賀) 塩…………とみしろ製塩 貯蔵期間…9ヶ月 森の里工房生産組合(有機米)以外は 国産低農薬レベルの米、大豆使用です。 やさか味噌 中辛口 原料:同上(ただし、米麹の割合は少ない) 貯蔵期間…15ヶ月 やさか二年味噌 中辛 原料:同上 貯蔵期間…24ヶ月 やさかの白みそ 原料:同上(米麹の割合が大豆の3倍) 加温1週間 要冷蔵 大豆はたっぷりのお湯で煮込み、さらに皮をはいで、 最後にゆっくりと蒸して仕上げるというふうに、 昔ながらの手の込んだやり方をしています。 もちろん添加物なし。市販品は添加物だらけです。 やさかのゆず味噌 原料:やさか味噌甘口の原料にプラスして 種子島甘蔗分蜜糖 ゆず…弥栄村柚子生産組合、無農薬 無農薬ゆずと砂糖でジャムを作り、甘口味噌と合わせています。 やさかの麦みそ 原料 裸麦……………国産(愛媛県産) 大豆……………JA白石(佐賀)、JA小城(佐賀) 塩………………とみしろ製塩 貯蔵熟成………8ヶ月 米みその代わりに、麦麹を使った味噌です。 夏向きのみそ汁として好まれます。
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別項目に詳しい記事があります。ご参照ください。
以上本文 文責:西川栄郎 2002年3月3週オルターカタログ記事
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