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月ヶ瀬健康茶園の有機栽培国産紅茶
カタログ“2002年8月4週”
 谷農園の小倉和久さんのご紹介で、最近紅茶作りを始められた岩田文明さんの紅茶を飲ませていただきました。経験が少ないはずなのに、紅茶はなかなかの出来栄えでした。聞けば、国産紅茶の先進地、静岡の水車むらや滋賀の茶業試験場で勉強したり、あらゆる文献を学習なさったとのこと。イギリスの紅茶がとくにおいしいと思ったそうです。ご両親の岩田文祥さん、美代さんは、20年前から無農薬のお茶作りに取組んできておられます。栽培面積は2.49haです。大和茶の産地(市場では宇治茶として販売されています)三重県月ヶ瀬では、通常のお茶農家は3〜4haですので、地元では必ずしも大きい面積ではないそうです。その全ての畑と自家製茶工場で、有機JASを取得なさっています。一部に転換中の畑もありますが、全量が産直で売れているわけではありませんので、農協出荷も残っています。
 岩田文明さんは、親の後を継ぐだけでなく、自分の個性を伸ばすことを考えて、紅茶作りに取組まれたのです。緑茶としてはなかなか売りにくい二番茶が、渋み(タンニン)が多く、おいしい紅茶作りに向いていることも念頭においておられます。岩田文明さんは小さい頃、近くの川での魚とりが大好きでした。そのハヤ、サワガニ、フナなどが生息していたはずの小川が、いつの間にかいくら探してもドジョウの一匹も見つからない死んだ川になってしまっていたのです。魚たちが姿を消した原因は、田畑に使う農薬や化学肥料の影響、コンクリート護岸、家庭排水だと思いました。将来、この川に魚を呼び戻すことが自分の果たすべき役割だと思い、自分の職業は有機農業しかないと決断なさったとのこと。有機製茶を通して、食べる人と出会い、上流、下流という川の線で結び合い、人と人との信頼、都市と農村のバランスを取り戻し、一緒に学びあい、元気一杯にいつまでも暮らし続けられる環境を作っていきたいと考えておられます。なお、紅茶の販売は谷農園が担当され、障害者作業所の運営費の足しになさいます。
岩田文明さん
◆月ヶ瀬健康茶園の紅茶◆
●お茶の品種 
 現在のところ、緑茶の品種であるサヤマミドリ、オクミドリ、ヤブキタを使っています。紅茶には日当たりよく育った、葉が大きくて、分厚い、渋み(タンニン)の多い二番茶が向いています。
 今年閉鎖されることになった奈良県農業試験場から、紅茶専用品種「べにひかり」「べにほまれ」「べにふじ」「べにたちわせ」「べにさつま」「あかね」など、数種類の茶木を移植なさり、3〜4年先には、これで紅茶作りを始める予定です。

●栽培方法 
 農薬、除草剤、化学肥料を全く使用していません。ミノムシ、シャクトリムシ、チャドクガなどは一匹一匹手でつまんで退治しています。お父さんから、畑ではキョロキョロして歩けと教えられているそうです。茶園の畝間にはカヤや、すそ刈りした茶、を敷いています。カヤはお茶にとろみや甘みを出すのに、ワラより力があります。
肥料は、
油粕…平田産業の非遺伝子組換え菜種油の油粕
ぼかし…日本バイオ肥料(株)の「ぼかし大王」、JAS有機認証品
鶏糞…近所の平飼い養鶏をなさっている西原さんの鶏糞をパラパラ程度
を使っています。畑の土にはミミズがいっぱいいます。2001年、自家茶園の全て、2.49haと自家製茶工場で有機JASを取得済みです。岩田さんの茶園はどの畑も水はけが良く、霧がよく出て、お茶作りに向いています。

紅茶専用種の栽培も開始
<紅茶の製造方法>
@茶葉の刈取り
A萎凋(いちょう)
 摘み取った新芽を陰干し、その後萎凋機で6〜10時間、35℃以下の通風でしおらせます。茶葉から水分が約40%抜けると、萎凋香(リンゴのような香り)を生じ、しんなりと柔らかくなり、揉みやすくなります。萎凋は紅茶の品質に大きく影響する最も大切な工程です。スペースや時間の効率化を求めると品質が低下します。そこで、手間と時間はかかりますが、移動性の自然萎凋網柵を設計、製作なさっています(岩田式自然萎凋柵)
B揉捻(じゅうねん)
 柔らかくなった茶葉を揉み、組織や細胞を破砕して、発酵を促進させます。甘酸っぱい香りになります。揉捻機はスリランカから紅茶用のを中古で購入なさいました。日本では8台しかない貴重な機械です。Cふるい
 発酵を均一に進めるために、揉捻で破砕した茶葉をふるい分けし、大きいものは再び揉捻機に戻します。
D発酵
 冷涼25〜28℃で、多湿(湿度95%)な場所に静置し、紅茶特有の香味や水色などを調節します。
E乾燥
 適度に発酵した茶葉に、110〜120℃の熱風を加えて発酵を止め、水分約3〜5%まで乾燥します。乾燥初期は強い熱風で一気に発酵を止め、乾燥後期はいかに香りを逃がさないかがポイントです。
F熟成
 2〜3ヶ月、3ヶ月〜1年、1年以上と、熟成によって紅茶はいろんな味に変化します。2〜3ヶ月以上が一般向け、ダージリンでは若いのが貴重です。


揉捻機
市販の紅茶の問題点
 1986年のチェルノブイリ原発事故以来、ヨーロッパ産の紅茶の放射能汚染が非常に高く、国産の紅茶や南半球産の紅茶をお勧めしています。市販されている紅茶はヨーロッパ産と南半球産とをブレンドしているものがあり、要注意です。また、お茶の栽培にも農薬を使いますので、無農薬のものがお勧めです。
 一般の茶葉には1年に12〜13回も農薬を散布しています。化学肥料を導入して多収量にしている畑では、茶葉に高濃度の亜硝酸態窒素を含み、嫌な苦みがあって、おいしくありません。


   ―文責 西川英郎―


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