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日本脂質栄養学会の情報 コレステロール低下医療に警鐘
カタログ2015年1月2週
長寿のためのコレステロールガイドライン2010年版(中日出版社)より一部抜粋

 国連を先頭に“コレステロール値は低いほど良い”と言う情報が発信され続けている。臨床医は安心して低下薬を使用し、市場には低下効果を標榜する食品が氾濫している。しかし、実際にはコレステロール値は高い人の方が癌や脳卒中に罹りにくく、そして長寿であることが解った。間違ったコレステロール低下医療の危険性を示し、医療の改善をめざす。
(日本脂質栄養学会 コレステロールガイドライン策定委員会)

◆序文
 高脂血症のガイドラインは、すでに動脈硬化学会などから出ており、例えばコレステロールを例に取れば、いわゆる悪玉といわれるLDL-コレステロールを140mg/dL以下にすることが目標としてかかげられている(総コレステロールなら220mg/dL以下)。
 しかし、これまでのガイドラインには、いくつもの大きな問題点があったため、ガイドラインとして成立していない。一般の人達のみならず医療関係者も、総コレステロール値が高いと総死亡率がどうなるかをきっと知りたいと思うはずだ。しかし、これまでのガイドラインには、その総死亡率のデータが全く表示されていなかった。もしも想像とは逆に、コレステロールが高い人達の総死亡率が低いのであれば、今まで常識だったコレステロール害悪説を考え直す必要が出てくる。
 我々のガイドラインでエビデンスを示したように、総コレステロール値あるいはLDL-コレステロール値が高いと、日本では何と総死亡率が低下する。つまり、総コレステロール値は高い方が長生きなのである。このことは専門家の間では10年以上前から分かっていた。なぜこのような単純で重要なことが一般には知らされていなかったのだろうか。
 今回、日本脂質栄養学会が中心となり、高脂血症のガイドラインを編集することになったが、本ガイドラインには今まであまり知られていなかった多くの事実が含まれている。それが可能になった理由は、編集委員のほとんどが製薬企業から研究費等をもらっていないからである。(中略)この情報こそ、ガイドライン作成者が最初にすべき最低限の情報開示である。これまでのガイドラインを見ればお分かりのように、このような情報開示はなかった。
 2008年にマスコミ2社が調べたように、動脈硬化学会のガイドライン作成者の多くは高脂血症治療薬メーカーから数千万あるいは数億の研究費を取得している(私学の場合は金額不明)。このような状態で、まともなガイドラインが作られるであろうか。
 コレステロールを低下させるスタチン類は日本で年間2,500億円の売り上げがある。関連医療費はその3倍。その中にかなりの税金が使われている。
 このガイドラインは、真に必要な情報をまとめ、無駄な、またある時は有害な医療をなくすことを目的として作成されている。
(日本脂質栄養学会 理事長 浜崎智比仁 
 富山大学・和漢医薬学総合研究所・臨床利用部門・教授)

◆背景および編集方針
 “動物性脂肪とコレステロールの摂取を減らして、高リノ−ル酸植物油を増やすと、血清コレステロール値が低下して、動脈硬化性疾患が予防できる”というコレステロール仮説が、約半世紀前に出され、現在まで医療の現場では広く受け入れられてきた。コレステロール値を下げることによって、動脈硬化性疾患が予防できるとする情報が、国連WHOや欧米から伝えられ、わが国の医学界もこれを広く受け入れてきた。実際、日本動脈硬化学会の『動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2007年版)』や日本循環器学会の『虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2006年改訂版)』(これらを循環器系学会ガイドラインと略)は欧米発信の情報をほぼ受け入れており、後者は関連する10学会の共同で作られたものであって、500余の学術論文が引用されている。このコレステロール低下医療の妥当性を示す主要な根拠として、コレステロール低下薬、スタチン類が心疾患予防に有効であったとするいくつかの論文が重視されている。
 ところが近年多くの新しいエビデンスが集積し、これら循環器系学会ガイドラインにはいくつかの解釈に誤りがあること、その内容は大部分の人にとってむしろ危険なものとなっていることがわかった。一方、臨床試験の公明性を確保するための新法が2004年に欧米で施行された。それ以来、企業と直接の利害関係のない研究者らにより、新法にそって行われた臨床試験では、“スタチン類はLDL-コレステロール値を下げるが、心疾患予防には効果がない”ことが明らかにされた。(2006年以降)
 そこで、現在の医療分野におけるコレステロール低下一辺倒の趨勢に問題を提起し、方向転換を図ることを目的として、日本脂質栄養学会のもとに「コレステロール ガイドライン策定委員会」が設置された。
 本委員会は、総死亡率が最も重要なエンドポイントであるという理解のもとに、“長寿を目指したコレステロール ガイドライン”を策定した。対象とした論文は原則として、調査対象者が千人単位以上、あるいは追跡期間が数年以上のものである。本書『長寿のためのコレステロールガイドライン(2010年版)』は、今後、この分野の他の専門家からの意見を集約し、より良い方向に改定される予定である。
 以下に、本ガイドラインの策定根拠を解説するが、他の機関・学会から発信されているガイドラインとは内容がまったく異なるので、エビデンスを示すことに重点をおいた。

◆要旨
<第I章>
コレステロール摂取量を増やしても血清コレステロール(TC)値は上がらない

<第II章>
“高リノール酸植物油の摂取を増やし、動物性脂肪とコレステロールの摂取を減らす”という従来の栄養指導は、むしろ心疾患、癌などを増やす危険性が極めて高く、これを勧めない

<第III章>
血清コレステロールの心疾患に対する相対危険度は、調査集団により大きく変わる。集団中の家族性高コレステロール血症(FH)などの割合が、クリティカルな因子であると解釈すると、この変動性が合理的に説明できる可能性がある

<第IV章>
コレステロールの基準値を決める上で最も重要なエンドポイントは総死亡率である。40〜50歳以上、あるいはより高齢の一般集団では、TC値の高い群で癌死亡率や総死亡率が低い。これらの集団には、コレステロール低下医療やコレステロール低下をめざした食品を勧めない

<第V章> 
女性に対するコレステロール合成阻害薬、スタチン類の使用は不要とされてきたが、男性に対しても医師の合理的な判断による特別なケースを除き、動脈硬化性疾患予防にスタチン類は不適切であり、勧めない

<第VI章>
血清コレステロールの善玉・悪玉説は、その根拠が崩れた

<第VII章>
中性脂肪値が150mg/dL以上でも脂質異常症とはいえない。一般集団では、中性脂肪値の高い群の方が総死亡率は低いという結果も報告された

<第VIII章>
動脈硬化性疾患およびその他の炎症性疾患を予防するためには、ω6系脂肪酸の摂取量を減らしω3系脂肪酸の摂取を増やすことを勧める

<第VIIII章>
家族性高コレステロール血症などの先天性遺伝因子をもつ人に勧める脂質栄養

<第X章>  
脳卒中はコレステロールや動物性脂肪摂取の多い群、血清脂質レベルの高い群ほど発症しにくく、脂質レベルの高い群の方が予後は良好である

<第XI章> 
わが国の食環境でみられる植物油脂の供給増の方向は危険である。動物に有害作用を示す植物油脂の代わりに動物性脂肪を肥満にならない程度に摂取すること、またそれを可能とする食環境作りを勧める

<第XII章>
『動脈硬化性心疾患予防ガイドライン(2007年版)』日本動脈硬化学会刊の問題点

<第XIII章>
欧米から発信されている脂質栄養情報を妄信しないよう勧める

<第XIV章>
長寿をめざした脂質栄養の勧め‥要約


長寿のためのコレステロール ガイドライン策定委員会
◇委員長
浜崎 智仁(富山大学 和漢医薬学総合研究所 教授) 

◇編集責任者 
奥山 治美
(金城学院大学薬学部 脂質栄養オープンリサーチセンター長)

◇副編集責任者 
大櫛 陽一 (東海大学医学部 教授)

◇委員 (50音順)
天野 恵子 (野中東皓会 清風荘病院 特別顧問)
植木 彰 (自治医科大学さいたま医療センター神経内科 教授)
奥村 康 (順天堂大学医学部 教授)
大原 直樹 (金城学院大学薬学部 教授)
小林 哲幸 (お茶の水女子大学理学部 教授)
柴田 博 (桜美林大学老年医学 教授)
清水 俊明 (順天堂大学医学部 教授)
下川  一 (NPO 法人 食と健康を守る協議会 代表)
鈴木 平光 (女子栄養大学 教授)
高田 秀穂 (関西医科大学 教授)
田中 裕幸 (ニコークリニック 院長)
山門 實 (三井記念病院総合健診センター 所長)

◇アドバイザー
浜 六郎 (NPO 医薬ビジランスセンター代表)
酒井 秀紀 (富山大学薬学部 教授)



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



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