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◆貴重な山羊チーズ 北海道は日高山麓にある、帯広市の郊外拓成町の香林農園・腰山 通彦、真理ご夫妻は、10ヘクタールほどの牧草地や山林で、ヤギ30頭、牛3頭を飼い、それらから搾ったヤギ乳や牛乳を原料に、手造りでナチュラルチーズを造っています。酪農からチーズ造りまでの一貫生産です。小さいチーズ工房ですが、牧歌的な美しいたたずまいです。そのチーズには様々な名前がつけられ、腰山さんがいかにチーズ造りを楽しんでいるかがうかがえます。千歳空港(きたキッチン)や、帯広空港でおみやげとして売られ、人気です。 とくに山羊チーズに関しては、国内でエサから安全にこだわった山羊チーズはたいへん珍しく、貴重です。牛乳アレルギーの方の中でも食べられる方が大勢います。
◆自然なスタイル 春から秋にかけてはヤギや牛を放牧し、青草を食べさせています。牧草地への肥料は、化学肥料を使わずヤギや牛の糞で作った堆肥を使っています。購入した発酵鶏糞を使用することもあります。 冬期は乾燥した牧草を与え、不足分は近隣から購入しています。ビートパルプペレットを少々搾乳時にヤギや牛をつなぐために使います。その他粉砕塩を与えています。 ヤギ乳は春になってから搾乳されます。チーズ造りはそれからになりますので、夏前にならないと山羊チーズはできません。牛は季節分娩ではないので、比較的年中チーズ生産が可能です。 シーズン中は毎日、ヤギ乳や牛乳が搾乳されますので、チーズ造りも毎日の仕事となります。香林農園のナチュラルチーズは、乳のほかレンネット(凝乳酵素)と乳酸菌、塩だけしか使いません。したがって、もちろん食品添加物無添加です。
◆牧歌的生活の中で造られるチーズ 腰山 通彦さんは栃木県出身、真理さんは北海道(釧路)出身です。通彦さんは20代には酪農家で働いていました。当時、帯広市には日本で初めての山羊チーズを作ろうとしている人がいました。 通彦さんは知り合いの獣医からの働きかけがあってその企画に加わり、チーズ造りを1984年に始めました。通彦さんはヤギ飼いとして参加しました。1987年には個人でハーブ栽培と有機無農薬野菜作りをする香林農園を始めました。しかし、その山羊チーズは消費者に受け入れられず、約10年続けた共同での山羊チーズ造りは1996年に断念することになりました。 通彦さんは、その山羊チーズ造りを香林農園として引き継ぎ、同時に牛のチーズ製造許可を取得し現在に至ります。日高山麓拓成の森では、初夏になるとカウベルと鈴の音が響きわたります。ヤギと牛が山の牧場に向かうのです。夏は野性と共に生活し、青草でお腹を満たし、冬は乾草を食べて過ごしています。 腰山さんの小さな工房から生まれるチーズはあくまでも牧歌的な生活の産物として位置づいています。また、こうした生き方を伝えていければと考えているのです。 香林農園のオルターへのご紹介は、自然農法の秋場和弥さんなど数々の北海道の生産者をこれまでにも紹介していただいた、しっでぃぐり〜んネットワークの川原 智道代表です。すばらしいナチュラルチーズを造っている香林農園を応援してほしいということでした。
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■酪農 牧草地10ヘクタール以上にヤギ30頭、牛3頭を飼育 ●夏 放牧で青草をたっぷり食べている ●冬 雪の上で放牧してるいが、干し草を与えている
エサは草以外、塩を与えている 搾乳時ビートパルプペレットを少々与える 草地の管理は、発酵鶏糞(青森県産)・完熟堆肥使用
★山羊チーズ ◎「ポンヌプリ」山羊チーズの代表格ソフトタイプ 乾燥して身が締まり、コクが増します。カビが生えやすいので、カビが苦手な人はご遠慮ください。鶏胸肉に、スライスした「ポンヌプリ」とバジルをはさんで塩こしょうで焼く一品は絶品です。 <原料> ●ヤギ乳 自家製 ●塩 再生塩 天日塩(メキシコまたはオーストラリア原産) ●乳酸菌 クリスチャンハンセン社(デンマーク産) ●レンネット(凝乳酵素) 蔵王酪農センター ニュージーランド産子牛由来 <製造工程> @搾乳 A殺菌 64℃30分 B冷却 C乳酸菌添加 Dレンネット添加 E自然脱水 F型詰 G型はずし H加塩 I熟成 J包装
◎「テレアイーネ」セミハードタイプ(2カ月熟成) <原料> 同上 <製造工程> 上記E 「自然脱水」が「圧縮」に
★牛チーズ ◎「ペテガリ」 セミハードタイプ(2カ月熟成) しっかりとしたコクがありながらもあっさりとした後味です。 <原料> ●牛乳 自家製 ●塩 同上 ●乳酸菌 同上 ●レンネット 同上 <製造工程> 上記「テレアイーネ」と同じ
◎「ピパイロ」 セミハードタイプ かすかな酸味のあっさりした風味。加熱すると独特の旨味。表面のろうはむいてお召し上がり下さい。賞味期限が長く、熟成が進んでいきます。 <原料> 同上 <製造工程> 上記「テレアイーネ」の製造工程HIの間に「乾燥」「ろうがけ」の工程が入る
◎「カパラ」 塩水で洗いながら熟成させるウォッシュタイプ。外皮には強い匂いがありますが、中は旨味が詰まって、ねっちりと濃厚です。熟成の長さによって味は大きく変化します。人気の一品。 <原料> 同上 <製造工程> 「テレアイーネ」の製造工程I「熟成」、塩水で洗いながら熟成させています。
◎「コタン」 生チョコの食感。牛のチーズとしては珍しい乾燥熟成タイプ。しっかり水分を飛ばした木の実を思わせる食感は酸味がありますが、この酸味はトーストにするとさっぱりとした珍しいチーズトーストになります。カビが生えやすいのでカビが苦手な人はご遠慮ください。 <原料> 同上 <製造工程> 「ポンヌプリ」と同じ。
◎「ユクトパキナ」 フレッシュチーズ ジャムやはちみつをそえてスイーツに。 塩、コショウ味でじゃがいも料理に。 <原料> ●牛乳 同上 ●乳酸菌 同上 ●レンネット 同上 <製造工程> @搾乳 A殺菌 64℃30分 B冷却 C乳酸菌添加 Dレンネット添加 E脱水 Fカップ詰
―文責 西川榮郎(NPO法人 安全な食べものネットワーク オルター代表)―
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