通信販売の法規(特定商取引に関する法)に基づく表示

照葉樹林を守った 町ぐるみの自然生態系農業
カタログ2015年2月3週号
キャベツ、レタスなど冬野菜が豊富です。
◆豊かな水と土に恵まれた土地
 (有)有機生活・綾 江島 鉄郎専務は、宮崎県綾町の照葉樹林に囲まれ、名水百選にも選ばれた豊かな水と土に恵まれた土地で、有機野菜の生産に取り組んでいます。「自分の名前で、自分の野菜を信頼できる人に届けたい」と2000年に発足させました。

◆「自分で育てる野菜は無農薬で育てましょう」から始まった
 中心メンバーの(有)松井農園の松井 道生さんは、水田500a、畑500aで玄米酢用の米や、冬温暖なその気候を活かして、キャベツ、ブロッコリー、白菜、結球レタス、サニーレタス、リーフレタス、フリルレタス、ほうれん草、みずな、小松菜、人参、大根など冬野菜を農薬や化学肥料を使わず自然生態系農業で育てています。有機JAS認証や綾町の特栽認証(ゴールド)も取得しています。オルターでそれら野菜の硝酸イオン値を測定したところ、よい成績でした。
 松井さんの病虫害対策はフェロモントラップの活用や青虫発生株の早期除去です。連作障害防止のためにはソルゴーなど緑肥を活用しています。
 もともとタバコ栽培農家だった松井さんが有機農業に取り組んだきっかけは、1973年から綾町が「子どもに安心して食べさせることが出来るように、自分で食べる野菜は無農薬で作りましょう」という「1坪菜園運動」に賛同したことからでした。近所で有機農業を実践していた人から野菜を分けてもらったところ、そのおいしさに驚いたのがきっかけでした。
 1989年には本格的に有機農法で栽培に取り組み、2002年には有機JAS認定を取得しました。
 松井さんがレタス類を大々的に栽培するようになったのは、オルターの牛肉、豚肉の生産者である興農ファームの本田 廣一代表が、ある外食産業を紹介したことがきっかけでした。その外食産業が現在低迷していることから、本田さんからオルターに松井さんの応援を頼まれました。

◆町ぐるみの有機農業の里
 綾町では500戸ほどの農家のうち、実に7割以上が化学肥料や農薬を使わない自然生態系農業を営んでいます。町として「自然生態系農業に関する条例」まで設けています。また町そのものが有機JAS認証機関として登録されていることもたいへん珍しいことです。
 綾町が有機の町として全国にその名を馳せた理由は、故 前・郷田 實町長と現・前田 穣町長との二代にわたる優れたリーダーのおかげです。

◆守られた照葉樹林
 綾町はかつて「夜逃げの町」と揶揄された時代がありました。こうした中、郷田町長が町長になったばかりの 1966年に営林署から国有林を伐採する旨の通知がありました。郷田町長はかつてアジアの戦地で生死を彷徨った時に目にした風景、それが懐かしいふるさとの照葉樹林だったそうです。自分を生還させてくれたこの森を守らなければと、伐採反対を訴え、その強い意志は住民を動かし、ついには国による伐採を中止させました。
 こうして守られた1750ヘクタールの美しい照葉樹林の森は「世界遺産候補地に関する検討会」において「知床」などと並んで最終5カ所まで残っていました。

◆農協が始めた有機農業
 1978年に郷田町長は当時農協の組合長になっていた現・前田町長に「有機農業の町づくりをしたい」と提案しました。農協といえば肥料や農薬を売るのが仕事、農薬を使わない安全なものを作るとなれば、品質も市場流通には乗りません。農業の経営は? 組合員の生活は守れるのか? というジレンマの中で、集団就職で町を後にする仲間を見送りながら、有機農業で生き残れるならと前田組合長は郷田町長への協力を決意されたのです。
 綾町が官民あげて、この日本最大級の照葉樹林を守ってきたこと、全国に先駆けて有機農業を推進してきたことが世界的にも高い評価を得て、2012年ユネスコエコパークにも登録されています。
 綾町の有機農家が一番難儀してきたことは、価値あるものを、いかに消費者に届けるかという流通の体制や理解ある消費者と出会うことでした。綾町とオルターとの今後の提携は、そんな綾町の志ある人々との未来を切り開く新たな大きな一歩となるはずです。


有機生活・綾の自然生態系農業 農作物 ★★★ ND
■生産者
松井 道生、長田 章、前田 清寿、堀 久男、仲村 公昭、北野 将秀、荒川 大輔

■出荷品目
結球レタス、サニーレタス、リーフレタス、フリルレタス、ブロッコリー、キャベツ、白菜、ほうれん草、みずな、小松菜、人参、大根、じゃがいも、サツマイモ、かぼちゃ、しょうがなど
有機JAS綾町認定

●防除
農薬、除草剤使用なし
フェロモントラップなどの活用

■肥料
化学肥料使用なし
●満作 
南国興産[有機JAS適合資材]鶏ふん、畜産加工残渣、豚ふん、自家製 発酵菌、コーヒーカス、ジュースカス
●綾配合 
南国興産[有機JAS適合資材]魚カス粉末、動物糞燃焼灰、薫製毛粉、なたね油カス及びその粉末、肉骨粉(豚)、薫製骨粉
●細粒苦土石灰 
津久見ドロマイト工場(株) 炭酸カルシウム[有機JAS適合資材]
●堆肥 
町内の牛糞を自分たちで発酵させたもの 
●床土
有機用セル3号[有機JAS適合資材] 
●宮崎 
焼土2号(沖積土と完熟豚糞堆肥を混合し500〜600℃で直接焼成)を主体に、カナダ産ビートモス、鶏糞炭化物、籾殻くん炭、有機炭化物(ヤシガラ炭化物と微生物)



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―



戻る