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亜熱帯気候の有機農業は虫で苦労!? 真南風(2)
カタログ“2005年3月4週”
亜熱帯気候の有機農業は虫で苦労!?真南風(2)
 前号に引き続いて、真南風のご紹介です
もずくの取組みから始まった真南風はその後様々な沖縄の農産物も取組むようになりました。
 今回は、そのうち沖縄本島で農薬不使用で野菜作りをしている生産者、識名盛繁さん、中村秀光さん、下門清一さんをご紹介します。
 沖縄から本州への輸送には離島運賃がかかり、どうしても割高になってしまいます。そのため、本州への出荷は季節差を利用した時期のものか、亜熱帯のフルーツなど特産品など限定的なものにならざるを得ません。また、台風の影響も大変受けやすく、不安定さがつきまとっています。
 沖縄本島で有機農業に取組む農家は大変苦労するため、こだわりの農家は少数です。10年以上前は有機農業にチャレンジした農家も結構多かったのですが、その殆どは辞めてしまっています。
 暖かい気候のため、年中病虫害が多いこと、地元では見た目の悪い野菜に対する理解を示す消費者が少なく、県外へは離島料金の乗った野菜は売りにくいこと、購入する有機肥料が高いことなどがその主な原因でした。
 このような有機農業にとって難しい沖縄の風土にあって、今回ご紹介する皆さんは筋金入りの有機農家で、亜熱帯地方の気候にあった独特の工夫を凝らした有機農業を営んでいらっしゃいます。


中村秀光さん、米子さん(玉城村)
 1989年には既に有機農業を始めておられました。東京にあった、ある有機農産物流通団体に出荷できたことがきっかけでした。本格的に取組んだのは1988年からでした。
 有機農業に惚れて惚れていらっしゃいます。虫や病気との闘いは試行錯誤の連続、失敗の連続でした。有機農業は身体で覚えてきた、しかし20年以上作ってきてもまだまだ1年生、毎年が勉強だとおっしゃっています。
 以前はニセの無農薬野菜があっちこっちで売られていましたが、有機JAS法が出来てよかったとおっしゃっています。

◇栽培品目
インゲン、モロッコインゲン、オクラ、ゴーヤなど

◇栽培方法
 有機JAS認証を取得している畑と、取得はしていない農薬不使用の畑とがあります。認証にかかる費用が惜しいだけで、作り方は一緒です。作物は若草色のいい色、味も大変おいしいものです。
 亜熱帯の気候を生かした無加温ハウス栽培と、露地の畑があります。農薬、化学肥料は一切使いません。病気に強い作物を作るコツは、土作りです。沖縄は虫が多いため、その防除は沖縄に自生するヨモギ、ニガナ、ウイキョウや唐辛子などの薬草やハーブを泡盛漬けのエキスにした植物忌避剤を自作して使用しています。
 今一番手を焼いているのは、オンシツコナジラミだそうで、地球温暖化の影響か、20年前から沖縄に侵入してきた虫で、インゲンが白くなって出荷できなくなるそうです。
 また、コヘンルーダーなど約30種類の植物の新芽、若い種、黒砂糖を合わせて発酵させた自作の活力剤(天恵緑汁)を葉面散布に使っています。堆肥は牛糞(玉城村中村農場)、豚糞(嘉数ファーム)、カヤ、米ぬか(米屋から)、EM菌、天恵緑汁をユンボで切り替えしてブレンドさせ、完熟堆肥にして使っています。追肥用の液肥は、魚のアラとEM菌で自作しています、コストが合うよう、地域の資材を工夫し、なんでも自分で作っておられるのです。

中村秀光さん、米子さんご夫妻(オクラ畑にて)
 識名盛繁さん(勝連町)
 有機農業は1979年に始められました。真南風とは、そのスタートからのお付き合いです。やはり当初、農協からの嫌がらせを受けたそうです。
 昨年は台風でハウスが倒壊し、その復旧が長引きました。今、旨味たっぷりのトマトが順調に仕上がってきています。

◇栽培品目
インゲン、トマト、ゴーヤなど

◇栽培方法
 亜熱帯の気候を生かした無加温ハウス栽培。
防除は主として雨除けハウスや防虫ネットなど物理的方法で対応します。輪作をして、農薬や化学肥料は一切使いません。また、野菜の新芽や白砂糖を発酵させて作った手作り酵素液を活力剤として使っています。
 堆肥は近隣の草木や木枝、魚のアラ、活性炭(水道局から)をタジカラ液に浸けて発酵させた肥料を元肥として使っています。タジカラ液とは、ニガリ液と鉄塩が原料で、発酵を促進させる作用があります。また魚のアラと糖蜜を発酵させて、追肥用の液肥も作っています。
 トマトに関して、一部に害虫防除に使った食用油の散布後が浮き出ている場合がありますが、品質に問題はありません。



識名盛繁さん(ゴーヤ畑にて)
畑のすぐ隣にある世界遺産に登録された勝連城
下門清一さん(具志頭村)
 労働力は奥さんと祖母との3人です。有機農業を始めたのは、1991年からです。もともとユンボオペレーターをしており、兼業で慣行栽培をしていました。
 有機農業を始めたきっかけは、矢野東義雄さんとの出会いでした。矢野東さんは国や農業改良普及所の指導が嫌になり、とことん有機農業にこだわった指導を、五島列島の農家などに行っておられたのです。百姓と一緒に泥まみれになって指導なさる姿に感銘を受けられたそうです。
 これまでやはり苦労の連続だったそうです。とくに最初の4年間は苦労したそうです。消費者がいなくて、売れなくて、有機堆肥も高かった。真南風との取り組みは1998年からです。まだまだ出荷できる品物が少ないのです。随分勉強してこられ、これからは若い者にそれを伝えていきたいと語っておられます。
 今のところ、難しい虫はいないので順調な成育だそうです。ピーマンにはダニ、スリップス、アブラムシのために特別栽培(低農薬)の管理をしていることもあります。
 万が一、農薬不使用の畑に農薬をかけるようなことになった場合は、必ず報告するということです。自分の作物を食べて、消費者が喜んでくれたら、泣きたいくらい嬉しいとおっしゃっています。

◇栽培品目
インゲン、ピーマン、オクラなど

◇栽培方法
 亜熱帯の気候を生かした無加温ハウス栽培。
防除は圃場の周りに、米ぬかを敷き、その上にEM菌をまいておく、そこに例えばインゲンの葉が落ちて発酵していくと、病害虫の侵入を防ぐ効果があるのです。
 堆肥には牛糞、豚糞、草、米ぬか、大豆粕、魚粉で元肥を自作しています。またボカシ肥を米ぬか、EM菌、糖蜜で作って、元肥に使っています。追肥には魚エキス、植物性アミノ酸でできたアミノ酸液肥を沖縄みどり産業から購入しています。


下門清一さん(オクラ畑にて)
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