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■無窓鶏舎は抗生物質使用増に■
通信822号飼料記事
食品と暮らしの安全基金が指摘
日本消費経済新聞2004年3月29日より記事転載

 家畜に大量に投与される抗生物質による耐性菌の危険性を警告している『食品と暮らしの安全基金』(小若順一事務局長)はこのほど、農林水産省と食品安全委員会に対し、無窓鶏舎は多発する病気を防ぐためにさらに抗生物質の使用を増加させるとして、鳥インフルエンザ対策で無窓鶏舎を推進すべきではないと申し入れた。

同基金の申し入れ内容は次の4点。
@無窓鶏舎を推進する対策を取るべきではない。
A国産ワクチンの開発と備蓄、使用できる環境を考えるべきである。
Bワクチンを使用するに当たっては、ワクチンに含まれる抗生物質への対策を整えるべきである。
CEUのように鶏の飼い方を規制し、スペースにゆとりをもたせて鶏を健康にすることを、鳥インフルエンザ対策の基本の1つにすべきである。
 
 政府が窓のない鶏舎を整備する場合に、助成を行う緊急対策をまとめたことに対し、「無窓鶏舎の鶏は、喉頭、卵巣、肝臓、気のうなどに病気が多発する。 これらの病気を予防・治療するために、抗生物質の投与を増加せざるを得なくなる」と問題点を指摘。無窓鶏舎が大半を占めるアメリカの養鶏で、鳥インフルエンザが撲滅できていないことを例に挙げた。
 また、耐性菌研究の第一人者、順天堂大学の平松啓一教授の報告から、鶏の病気対策に抗生物質が用いられることで、抗生物質に耐える耐性遺伝子を持つ菌が環境に広がり、病院に入って被害者を出している可能性があると警告している。抗生物質の耐性菌による院内感染で、年間2万人以上が死亡。耐性菌に感染した入院患者から、人には使わない高濃度の抗生物質に耐える耐性菌が発見されている。
 同基金では、無窓鶏舎を増やすような対策ではなく、外部からウイルスが進入しない対策としては、金網をつける費用に限って補助すべき。この方が安上がりで、鳥インフルエンザを防止する効果が高いと主張している。
 さらに、「鶏に与えるスペースを広くして、より自然な環境で飼うことで、鶏を健康にすれば、鶏の免疫力が高まり、鳥インフルエンザを防ぐ方策にもなる。もちろん、このような自然に近い養鶏でも東南アジアで鳥インフルエンザが発生しているが、近くの鶏が全滅するような感染は起こっていない」と説明。食の安全に意識の高い消費者が支持している自然派の養鶏にも配慮した対策を進めるべきとしている。
 また、ワクチンについては鳥インフルエンザのまん延が現実になった場合を想定して、できるだけ多くの対策を取れるようにしておくことが必要として、早急にワクチンを使用できる環境の整備を政府に求めている。
 また、使用に際し消費者の健康に悪影響を与えないため、鶏の肉と卵に抗生物質が残留しないような出荷制限期間を設けるべきとしている。


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