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「たてくべ」の備長炭でバーベキューを。
カタログ2012年6月1週号
炊飯、炭火焼にも。


◆「たてくべ」の良質な備長炭
 和歌山県田辺市本宮町の日の丸製炭の中上順司さんは、伝統的な技術で備長炭を焼いています。中上さんの炭焼き窯はNHK朝の連続ドラマ「ほんまもん」のロケにも使われました。
 備長炭の原木はウバメガシです。生育地を手入れし、25年〜30年で原木を切り出したものを使っています。原木を炭焼き窯に木入れする場合、中上さんは「たてくべ」といって、原木を窯に立てて入れます。この方法だと量産はできませんが、肌に艶があり、叩いて金属音の出るような良質な備長炭ができます。

◆灰かぶりの製品です
 中上さんの備長炭は、焼物用に向いています。もちろん、通常の備長炭の利用方法以外の特殊用途にも使えます。ただし、窯から直出しのため、灰かぶり状態での製品です。オブジェや炊飯用に使う場合はよく水洗いをしてからお使いください。
 中上さんの炭焼きの経験は1995年からで、その前職は塾の先生や森林組合での山仕事です。和歌山の伝統的な炭焼きの技術をほとんど独学で身につけられました。ここまでくるのに失敗もいっぱい重ねてこられたとのことです。将来の夢は、備長炭を使った炭火焼きの料理店を地元で作りたいとおっしゃっています。
 もともと備長炭は、炭火焼のような高級な燃料としての使い方が優れているのです。しかし、最近では備長炭にはヒビのない、つるんとした美しさ、見栄えが求められる傾向があり、そのため、よく燃える備長炭が少なくなって、ジワッとしか燃えない炭になっています。「火力」と「火持ち」が両立できれば炭焼きの名人の領域ですが、中上さんはそんな名人のレベルに達したとおっしゃっています。
 中上さんの炭焼きから出る木灰を、オルターのこんにゃく生産者・中尾食品さんのところで製造に使うことを検討しています。これまで使ってきた群馬県産の木灰が放射能で汚染された可能性があるための措置です。


日の丸製炭の備長炭
■原料
ウバメガシ(馬目樫)。三重県の伐採業者から仕入れています。
紀州など太平洋西南暖地海岸沿いの里山の代表的樹種です。

■炭焼き工程
基本的な工程は、□木入れ□炭焼き□窯出しという伝統的な紀州備長炭の製法です。
窯は土窯の集合窯です。原木の窯入れは「たてくべ」です。
作業は軍手をつけず、素手で炭の質感がわかるようになさっています。

■使い方
●焼物用
休みの日はお父さんの手料理の炭火焼を。主婦にはなかなか炭をおこす時間がないのです。炭おこしは炭おこし器を使うと簡単です。牛肉、ラムなどの串焼きは特に最高。着火しにくいが、燃焼はゆるやかで火持ちし、うちわひとつで火加減ができ、異臭がしません。料理の直接加熱、焼物料理には最高の燃料で、近赤外線(波長2〜5ミクロン)の働きで、食材料表面をサッと焼き上げ、内部の旨味を逃さず、素材の味が一段とおいしく焼き上がります。何でもおいしく料理できます。最も炭火焼の効果が出るのは魚、とくに皮がおいしいです。皮を焦がさずにパリッと焼き、そのすぐ下の皮下脂肪を残しながら中まで火が通るように焼ければ一人前です。ガスで焼いた皮の焦げは発ガン性が心配ですが、炭火焼では、心配ありません。(杏林予防医学研究所山田博士)

「炭おこしの使い方」
炭を入れ、初めは弱火にかけて、底のほうがまんべんなく赤くなったらガスコンロから下ろし、七輪の上にしばらく置いて7割がた赤くなってから、炭を七輪の中に入れます。

「残り火の処理の注意」
バーベキューなどでは、炭は使い切ると思いますが、魚をあぶると必ず残ります。残った炭は火消しつぼに入れて消火するか、炭おこしに戻して水で消火してください。乾くとまた使えます。七輪のまま、絶対に水をかけないでください。危険です! 

●炊飯用
よく水洗いし、煮沸してからご使用ください。米3合に直径2〜3cm、長さ8cm程度、または50g程度が目安です。炊飯用はおすすめで、備長炭を炊飯時に入れて炊くと、ごはんが香りよくおいしくなり、黄ばんだりしません。

●お風呂用(1s程度)/室内インテリア(オブジェ、風鈴)、楽器(炭琴)/床下用
1畳あたり3ケース(1ケース=15kg)が目安。浄化用、室内空気浄化などは竹炭の方が優れています(今回企画はありません)。縁の下などに敷く炭はナラ、クヌギの炭(600〜800℃)など安いものでもかまいません。ただし、ヒノキ、スギの炭は砕けやすいので、床下に長時間置く炭は堅いナラ、クヌギのほうがよいでしょう。

●電気代の節約に
備長炭を2〜3本、電気メーターの上にのせると、電気代が2割ほど安くなると言われています。


市販の備長炭の問題点
 一番の問題は、備長炭が商標登録でないことをよいことに、安い木炭や粗悪なオガ炭にまで「備長炭」と勝手に表示して販売されている現状です。偽装だらけで、何が備長炭なのかわからなくなっています。
 安い木炭は、煙、臭い、CO中毒、パチパチはぜる、などの問題で、バーベキューや卓上の焼き物には向いていません。
 備長炭の場合、まず安い中国産が問題です。なかには品質の向上したものも最近はあるようですが、概して焼きが甘く、900〜1000℃で作られ、燃焼に使うとはぜるようなもので品質が劣ります。炭焼きの着火時に木材を使わず石炭を使っているものがあるので、その石炭由来成分の汚染が、炊飯や飲料水用として使ったりするのに心配です。中国から日本への炭の輸出は、木材資源を守るため中国政府が非合法にしていますが、いまだこのルートはなくなっていません。
 土佐備長炭は「よこくべ」といって、量産するために、窯に原木を寝かせて詰め込みます。そのため、仕上げにねらし作業(炭を外へ取り出し、灰をかけて高温にさらす作業。炭は縮んで締まり、堅くなる)をする際、赤くなっていない上から上から取っていくので、いい炭にはなりません。
 生息地が海岸ふちにある原木では、潮風のせいか年数のわりに原木が大きくならず、また炭焼きの火力も弱く、使っているときに立ち消えするような品質のものがあります。和歌山県内でも南部川では製品の選別が甘いといわれています。また、マスコミに出て有名な製炭師のものでも他産地のものを混ぜていることもあるそうです。また、製炭師の腕が悪いと温度にバラツキが出て焼きが甘くなり、さくいものができたりします。
 備長炭ではありませんが、畑の土壌改良材として用いられる黒炭には、廃棄コストを抑える目的で建築廃材を炭にしたものが増えており、シロアリ退治のヒ素などが残留しているものがあります。とくに安く売っている木酢液には、このようなヒ素汚染のあるものが出回っていますので要注意です。良質の木酢液を作るには、良質な分画分(煙の温度が80〜120℃のもの)を採取し、6ヶ月ほど静置(熟成)しておく必要があるのですが、量を多く採るため全分画分をとって粗悪なものまで混じっているものや、水で希釈して売っている加水製品もあるのです。



―文責 西川榮郎(オルター代表)―


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