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生しらすを生のまま乾燥したもの DHA、EPAが豊富です。 |
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◆カタクチイワシの稚魚が原料 静岡県由比の福島久之商店の福島 清介さんは、地元、由比漁港で水揚げされる新鮮な生のしらす(主にカタクチイワシの稚魚)を原料に、“たたみいわし”を専門的に製造しています。 たたみいわしとは、網を張った木枠に生しらすを拡げ、海苔のように薄い板状に乾燥させたいわしの干物のことです。 神奈川県相模湾の茅ケ崎付近がたたみいわしの発祥の地とされ、鎌倉の鶴岡八幡宮の神饌(お供え)とされた記録もあるそうです。たたみいわしの語源はしらすを敷いた模様が畳に似ているところからつけられたという話と、昔は畳用のゴザ(イグサ表)で干したという話があります。 昭和の時代に入ってしらす漁の盛んだった静岡市の西にある用宗港(もちむねこう)に伝わり、静岡市で拡がり、やがて主に関東地方で食されるようになりました。 昔は、漁師町で余ったしらすを干して保存食としたもので、居酒屋で食べる安価な食べものというイメージでしたが、今日、しらす不漁の時代となって、どちらかというと高級な食材となりました。
◆しらすの栄養、味が損なわれていません たたみいわしは釜上げちりめんのようにゆでたりせず、火を加えずに生のまま乾燥していますので、イワシに含まれるDHA、EPA、ビタミンD、B12、カルシウムなどの栄養素や味が損なわれておらず、とくに子どものおやつとしておすすめです。しらす以外の原料は不使用。食品添加物など化学薬品も一切使用していませんので安全です。 食べ方としては、軽く焙ってそのまま、もしくは醤油をつけて食べるのが一般的ですが、好みでマヨネーズ、七味や一味をつけて食べることもできます。ごはんの上にのせ、お湯をかけて茶漬にすることもできます。吸物にも向いています。もちろん、酒の肴も定番です。
◆鮮度抜群の由比の1隻引きしらす たたみいわし製造は生しらすが原料になります。生でないとイワシ同士が板状にくっつかないからです。福島さんは駿河湾で漁獲し、由比で水揚げされ生しらす(主にカタクチイワシの稚魚)を使います。カタクチイワシは色も白く、形もしっかりしています。 由比で水揚げされるしらすは他産地と比べ、鮮度においてすぐれています。他産地では2隻引きが一般的ですが、由比では1隻引きだからです。 2隻引きはトロール型の網を2隻で引きます。漁獲量が多いのが特徴ですが、水揚げに30分〜40分かかって鮮度が低下してしまいます。由比の1隻引きでは網も小さく、5分くらいの短時間に水揚げでき、すぐに氷を使っていますので、鮮度に優れています。
◆手作りで1枚1枚ていねいに仕上げています 福島さんは由比港で水揚げされた生しらすを、鮮度はもちろん、形が揃っているか、異物はないか、ゴミをとるため必要以上に洗いすぎていないかなどを見極めて購入しています。 生しらすはすぐに氷を入れた真水にさらし洗います。このとき適度に洗うのがコツのひとつで、洗えば洗うほど白くなりますが、味やおいしさは失われていくからです。この適度に洗った生しらすを網のついた木枠の中に拡げ、乾燥機の中で乾燥します。釜上げちりめんだったら、いくらでも加工でき量をこなせますが、たたみいわしはまさに手作りで1枚1枚の手仕事となり、量はこなせません。丁寧な仕事が求められます。
◆少ない原料でも安定的に仕事ができるように 福島 清介さんは4代目です。先代まではさくらえび、しらすの加工業を営んできました。たたみいわしに関しては福島さんが初代となります。親戚にたたみいわしを作っている人がいたので、22才から見よう見まねで始めました。始めたきっかけはしらす資源の減少する時代にあって、しらす漁の豊漁不漁の波に左右されず、少ない量の原料があれば安定して操業でき、従業員の仕事も確保できるということで、手作りのため手間のかかるたたみいわし作りにあえて取組みました。 オルターへの紹介は、福島さんと同じ由比しらす加工組合の仲間でオルターのさくらえびやちりめんじゃこの生産者、カクマツの岩辺 博行さんからです。
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■原料 ●生しらす 静岡県由比港で水揚げされる主にカタクチイワシの稚魚 生しらす以外の原料を使っていません。 食品添加物など一切使っていません。
■製造方法 @氷を入れた真水の冷水でさらし、洗う。洗いすぎて、味を落とさないのがコツです。 A網を張った木枠の中へ生しらすを拡げ、型取りをする。型枠よりせいろに反転する。 B不形成を修復し、異物除去 C乾燥(機械乾燥)する(45℃ 3時間以上)。風量、温度を調節して、品質を低下させないのがコツです。 D放冷 Eせいろから剥がす F冷凍保管する(−20℃)
―文責 西川榮郎(NPO法人 安全な食べものネットワーク オルター代表)―
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