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穀物の国際価格は異常高騰しています
オルター通信982号記事
穀物の国際価格は異常高騰しています
 提携米通信 2007年5月号・黒瀬農舎発



 この一年でトウモロコシの国際価格は2倍に高騰しました。
 一番大きな原因は、こともあろうに地球温暖化防止のために石油など化石燃料を削減する目的で始まった食糧のバイオエタノール転換です。
 アメリカは今年1月に大統領が「2017年までに年間350億ガロンの自動車用代替燃料化を義務付ける。」と表明しました。
 アメリカがトウモロコシの生産量の約20%をエタノールに転用するようになって、いま国際価格が2倍に高騰したのですが、350億ガロンを賄うには、現在のトウモロコシ生産量のすべてを投入しても不足するという膨大な量です。
 食用油や鶏や牛の餌の不足や高騰、肉や卵の生産費の上昇など大混乱になる可能性が高まりました。
 また、バイオエタノールの最大生産地のブラジルは、主にサトウキビを原料としており、この余波で砂糖の国際価格も高騰しています。
 「化石燃料もバイオ燃料も車に使えば同じように二酸化炭素が発生するが、バイオ燃料は作物の成育中の炭酸同化作用があるからバイオ燃料化は地球に優しい。」と言われています。
 この説は、余りにも短絡だと私は思います。
 人間の食糧生産(農業)は、元々「原生林」を破壊し、切り拓き、行われてきた営みです。これ自体が地球温暖化を呼ぶ行為です。バイオ燃料推進はこの原点を忘れた主張だと感じます。
 直接人間が食べる食糧を確保する場合であっても、耕す土地は少ないほど、また、循環型の農法により環境に負担を掛けない配慮や工夫が温暖化防止には是非必要です。
 化石よりもバイオ燃料がよいと、アマゾンの原生林を切り拓いて、トウモロコシやサトウキビをどんどん作れば、地球温暖化は益々進行することに繋がります。
 国際穀物価格はトウモロコシだけでなく小麦、大豆、米も同時に高騰しています。
 原因は、上記のバイオ燃料化作物への転換で小麦や大豆の作付け面積の減少、世界人口の増加、そして、今年の小麦の場合は近年の異常気象から来た昨年末のオーストラリアの大干ばつによる有史以来の凶作の影響です。
 このように国際穀物価格が高騰したとは言っても、日本の農産物価格は、国際価格よりもまだ数倍高く、輸入農産物が年々増加して日本の自給率は30%を切りました。
 またWTO協定で農産物への直接的な価格補助金が削減され、例えば小麦の場合、今年から農家が手にする価格は1俵(60Kg)1500円程度と予想されています。
 この額は、乾燥調整に必要な経費とほぼ同額です。従って、種代も肥料代も手間賃も機械代もゼロです。これでは農業を本気で行う人はいなくなります。この余波で、今年の大豆作付けは激減が予想され、国産大豆が売り物の豆腐屋さんは大慌てです。
 食糧・農業問題はこのように難しい問題です。続きは以後の通信に譲ります。




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