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『新生児の汚染』 
通信907号記事
世界の環境ホットニュース[GEN] 530号(05年07月18日より転載)発行:別処珠樹さん 
http://www.kcn.ne.jp/~gauss/index2.html


出産が近づいてくる頃になると、お母さんの胎盤からへその緒を通して、一日にして300リットルほどの血液が胎児のからだの中を流れます。これには酸素や 栄養が含まれていて、胎児の命をはぐくんでいます。少し前まで、胎盤は色々な汚染物質を通さないと考えられていました。しかし出産が近づく頃になると、へその緒の血液を通して、色々な必要物質だけでなく、工業化学物質や、汚染物質、農薬などを運び込んでいることが分かってきました。タバコの成分やアルコールなども同じです。
  アメリカのワシントンDCに本部をおく 環境ワーキング・グループ (EWG) は、外部の研究者たちと力をあわせて、04年8〜9月に10人の新生児を調べ、平均 200種の工業化学物質や汚染物質をみつけました。全部あわせて 287種の物質が含まれていたことがわかりました。赤十字病院で赤ちゃんが生まれて、へその緒を切ったあと、それを集めて調べたところ、農薬や消費者が使う商品に含まれている物質、石炭・ガソリン・ごみが燃えて発生する物質などが発見されました。
 これまで問題になっている物質 261種がへその緒の血液から検出されたと報告されたのは初めてですし、そのうち 206種は、へその緒の血液から検出されるのが初めての物質です。これらの物質の中には、最近 EPA(米環境保護庁)が発がん性があるのではないかと考え調査しているPFOA(パーフルオロオクタン酸)など8種類のパーフルオロ化合物が含まれています。PFOAは、フライパンの表面加工、ファーストフードの容器などに使われるフッ素樹脂の中間材料です。その他、広く使われてきた臭素系難燃剤、数多くの農薬なども含まれていました。
 そのうち、180種は人や動物で発がんの報告があるもの、217物質は脳や神経に毒性を示すもの、208種は 動物実験で新生児障害を生じたり発達障害を生じたりする物質です。こうしたものが人や動物にどういう影響を与えるかは、調べられているというものの、混合されたときに新生児にどのような影響を与えるかは何も分かっていません。
 検出されたデータには、平均値と範囲が示されています。ここでは一部の物質の平均値を紹介しておきます(元のデータは二種類の単位を含んでいますが、以下の単位はすべてpptに統一、血液の脂肪成分について1兆分の一、メチル水銀以外はその種類に属する各種化合物の合計です)。


メチル水銀----‐------------‐-947 ppt
臭素化ダイオキシン ----‐--------5.33
臭素化ジベンゾフラン----‐------50.5
塩素化ダイオキシン ----‐-------53.4
塩素化ジベンゾフラン ----‐-------6.04
有機塩素系農薬 ----‐-------18600
パーフルオロ化合物 ----‐-----617
多環芳香族炭化水素 ----‐-----285
ポリ臭素化ジフェニルエーテル -6420
PCB ----‐------------‐---7880
ポリ塩素化ナフタレン ----‐--617
ppt=一兆分の1(濃度の単位)=perts per tera
▼報告書原文 http://www.ewg.org/




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